すり鉢状の地形にある急斜面に位置し、冷たい風から守られた特殊なテロワールを誇るヴィーニャ・ズリアットも、クアート最高のクリュのひとつと名高い。海抜800mにあるため、周囲の畑よりも収穫は遅く、フェノール成分が良く熟した、糖度と酸度のバランスがより優れたブドウが得られる。野生のベリーやスパイスの力強く複雑な香り。果実の濃厚さではなく、エキスの密度で魅せる味わいは非常にバランスが良く、余韻も長い。パワーを求めがちなイタリアにおいて、これほどナチュラルで滋味に満ちたクオリティの高いピノ・ノワールは稀である。
クオリティにこだわり、品種別ではなく区画ごとに手作業で収穫したブドウをさらに選果し、ステンレスタンクにて低温発酵。柑橘類や洋ナシの瑞々しい香り。マルヴァジア・デル・ラツィオの華やかさ、マルヴァジア・ディ・カンディアのボディ、トレッビアーノ・トスカーノの繊細さと爽やかな酸、そしてグレコのストラクチャーが継ぎ目なく溶け込む混植・混醸ならではの味わいは、どんな料理にも寄り添う懐の深さとフレッシュさに満ちている。
カステルジョコンド内にあり、北隣りはルーチェの畑という絶好のロケーションにあるパッリーナの畑のブドウを使用。陰影のある艶やかな香りはブラックチェリーや軽く煮詰めたブラックカラント、革、スパイスを思わせる。濃厚な果実を支える甘く熟したタンニンと樽由来のストラクチャー。パワフルだが非常に端正で、裏ラベルに『チンクエペルロゴノーヴォ』と記載されている通り、あえてD.O.C.G.ブルネッロを造らなかったからこそ生まれた5つの品種の一体感はこのワインでしか味わえない。
ウィラメット・ヴァレーのピノ・ノワールのピュアな赤系果実や生き生きとした酸、アロマティックなストラクチャーを表現した夫のステュワート・ボーデッカーによるブレンド。中心となるのはオレゴン・ピノ始まりの地、ダンディ・ヒルズにあるストーラー・ヴィンヤードなど火山性土壌の畑。チェリーやレッドカラントのトーンの高い華やかな香り。均整がとれた透明感ある味わい。ピノの旨みがジューシーなフィニッシュまで長く続く。
ラズベリージャムやブラックチェリー、プラム、甘いスパイス、タバコ、カカオ、バニラが一体となってグラスから流れ出る。この上なく熟した果実は傑出した滑らかさと深みを備え、エレガントなタンニンとナッツのようなニュアンスがフィニッシュを締めくくる。ワイナリーに因んだキュヴェ名にふさわしい、濃密さ、エレガンス、ストラクチャーを備えた複雑な赤。