ペーリ・ビゴーニョは、イタリア最大の湖であるガルダ湖とブレシアの間にあるブレシア県カステネードロ村で3代続く家族経営のワイナリーで、1946年に初代当主アドリアノ&グラツィエッラ夫妻が現在の地に移住したことからワイナリーの歴史が始まる。1972年には2代目当主となる息子マリオと妻マリア・ビゴーニョが、それまでの大量生産を見直して高品質なワインのみを瓶詰めする方針に転換した。1970年代後半までスティルワインを生産していたが、当時からフランチャコルタを含むこのブレシア一帯のエリアでは、シャンパーニュ地方でみられるような、スパークリング・ワインに理想的なブドウ - 比較的糖度が低く酸度は高いが、未熟な青さが残らないブドウ - が育つ環境であったため、多くのコンサルタントやジャーナリストたちが瓶内二次発酵式スパークリングワインへ注目し、いくつかのワイナリーでは実際に実践し始めているという噂が広がっていた。この話を耳に挟んだマリオ&マリア夫妻は、この手法に興味を持ち、1980年から自分たちの畑のブドウを使って瓶内二次発酵式スパークリングワインの少量生産を始め、これが後のペーリ・タレント・ブリュットとなった。
「タレント・ブリュット」とは、イタリアワインを飲む人がより理解しやすいように、多様なエリアや細かいアペラシオンを超え、「高品質なスパークリング・ワイン」という枠組みで生産者を一括するブランドのことであり、タレント・ブリュットを名乗るためには次の3つの条件 ‐ ①シャルドネ、ピノ・ビアンコ、ピノ・ネロの3品種のみを使用すること。②瓶内二次発酵であること。③最低15カ月以上澱との熟成が必要であること。 ‐ を満たす必要がある。このブランドをより広く世界に発信するため、2009年にイスティトゥート・タレント・イタリアーノと呼ばれる団体が設立されるが、ちょうど海外輸出に着手し始めていた現当主3代目のアンドレアは、ブランド力は輸出の手助けになると考え、海外の重要な市場で商標登録済みであった「タレント・ブリュット」のブランド力と、個々のワイナリーが意見交換し、お互いから学ぶことができるという環境に惹かれ、2010年にこの団体に加盟する。現在14ワイナリーが加盟しており、かの有名なバンフィやフレスコバルディも所属している。
現在、畑はカステネードロとブレシアの丘に広がる合計15 haを所有している。大昔氷河であった場所が南部へ溶け出したことによって形成されたエリアであるため、南に向かって開けた円形劇場のような形をしている。湖の先にはなだらかなモレーン(氷堆石)の丘と粘土質の平地が広がっており、粘土・石・砂の混ざった土壌を形成している。「このようなテロワールは素晴らしいミネラル分をワインにもたらし、特にシャルドネのような白ブドウには最適だ」とアンドレアは言う。シャルドネの畑は6haにまたがるが、タレント・ブリュットに使用されるのは4.5haの畑からの厳選したシャルドネのみで、残りはスティルワイン用となる。栽培では、1998年よりリュット・レゾネ栽培を取り入れ始め、その後2001年に除草剤の使用を停止。2016年にはビオ認証取得のため、有機栽培への転向を決意。こうした行動の裏には「テロワールの保護と保全」というワイナリーの哲学があり、その理由を「テロワールはその個性を失う可能性があるから」とアンドレアは語る。醸造では、高い酸度を維持するためブドウは早めに収穫され、ワイナリー搬入後すぐに軽くプレスを行う。アルコール発酵には温度管理されたステンレスタンクを使用し、続くマロラクティック発酵も同タンク内で行う。その後、毎年春にティラージュを行い、通常のキュヴェで最低30ヵ月、上級キュヴェではなんと48ヵ月と規定を大幅に上回る熟成を行う。ヴィンテージ・シャンパーニュに比肩しうる工程を経て生み出されるペーリのタレント・ブリュット。残念ながら年間の生産量が非常に少なく、各アイテム10,000本程度であるため、限られたマーケットでしか手に入らない希少なワインとなっている。
商品コード:09842E
輝きのある活き活きとした繊細な泡。シトラスフルーツの心地よいアロマにパン生地のような酵母の要素も感じられる。柔らかい口当たりで黄色いリンゴ、レモンの皮やほろ苦いアーモンドにフレッシュでクリスピーな酸が見事に調和している。前菜や繊細なアロマを持つ食事との相性は抜群。
商品コード:09843E
46は、ワイナリーの創立年(1946年)に由来している。輝きのある泡はシルクのようにすばらしく繊細で、長い熟成に由来するヘーゼルナッツ、カスタード、トーストや蜂蜜の香り高いアロマが楽しめる。熟成感がありながらも、口の中ではシトラスフルーツを感じさせる活き活きとした印象で、爽快な酸とシャープな泡がはっきりとした味わいの輪郭を作っている。