カール・ローウェンはモーゼルの中部エリア、南西にトリアーを北にピースポート村を望む場所にワイナリーを構えており、現オーナーはクリストファー・ローウェンである。ワイナリーの歴史は1803年に遡り、大修道院のあったマキシミン・クロスターライの地にブドウ畑を購入したことから始まる。1982年には、モーゼルの著名なワイナリーであるライヒスグラーフ・フォン・ケッセルシュタットから6000本のブドウが植わるラウレンティウスライの畑を購入。ヒュー・ジョンソンからグランクリュとして認められている畑である。続いて1998年には、グローセス・ゲヴェックス(GGと呼ばれるグランクリュ相当の畑)として名高いリッチの畑を購入。ここは第二次世界大戦直後までモーゼルで最も著名な畑の一つであり、1868年の政府による格付けで最上と認定されただけでなく、ヒュー・ジョンソンも最上の畑だとしている。そして2008年、友人のワイナリーであるシュミット・ヴァーグナーが所有していたマキシミン・ヘレンベルクの畑を購入。この畑も前述の格付けで最上の畑として認定されており、所有者には高額な税金が課されていた。ドイツのガイゼンハイム大学によると、この0.8haの畑の95%以上のブドウが1896年植樹の接ぎ木なしのリースリングであるとされ、今日でも8000本が原木のまま残る稀有な畑だという。所有者はカール・ローウェンのみで、この広さでは世界で最も古いリースリングの畑の一つとして知られている。
現在、こうした素晴らしい畑の数々を合計で13ha所有している。大部分には古くて接ぎ木をしていないブドウが植えられ、古樹でない畑には、接ぎ木をしていない樹齢100年以上の古樹からのマッサル選抜したものを植えている。畑は肥やさないため、葉は激しく茂ることはなく、トリミングはひと夏に1回するだけである。また、作物の種をまくことで地面から栄養を取り除き、ブドウの生存本能を高めることで地下深くまで根付かせている。醸造においては、区画ごとに収穫されたブドウは小さな容器でワイナリーに運ばれ、直接プレス機に入れられる。プレスした果汁はポンプを使わずにタンクに移し、沈殿作業のために24時間置く。その後、ステンレスタンク、あるいはモーゼル産オークの古い樽(フードル)に移す。自然発酵を促し、温度調節もしない。ワインは酵母と共に5~6ヶ月間寝かせたのち、瓶詰めをする。
カール・ローウェンのワインは世界中から注目されており、パーカーとアイヒェルマン誌では4つ星の生産者評価を獲得。モーゼル・ファイン・ワイン誌とファルスタッフ誌では各ワインが90点以上のスコアを連発している。こうした世界的に有名なドイツのワイナリーはV.D.P.と呼ばれる生産者グループのメンバーであることが多いが、カール・ローウェンはこの団体に加盟していない。クリストファーはその理由を「V.D.P.には独自のルールがあり、彼らがGGと認めなければ、どんなに素晴らしい畑でもGGを名乗ることができない。しかし、畑について一番深く知っているのはV.D.P.ではなく、その畑の所有者ではないのか?GGを名乗れる素晴らしいポテンシャルを持つ畑を判断し、申請する決定権があるのは、我々自身ではないのか?」と語る。このため彼は、よりワイナリー側の裁量が広い生産者団体であるベルンカステラー・リングに加盟している。また、彼はV.D.P.のメンバーにならない理由について、V.D.P.はマーケティング色が強いことも挙げている。「我々はワイナリーであってビジネスマンではない。」元来、ローウェン家はビジネス・マーケティングといったことではなく、畑仕事により多くの時間を費やしてきた。そのため彼らは、品質は裏切らないということを知っており、良いワインは自然に売れていくという確信があるのだ。実際、カール・ローウェンのワインは素晴らしい品質であるにもかかわらず、幸いにも価格が高騰していない。今まさに注目すべきであり、絶対に抑えておくべきワイナリーの一つなのである。
商品コード:09878E
ライヴェン村にあるクロスターガルテンの区画のブドウを使用。樹齢25年以上。モーゼルの方言で、クアントは「良い物」を意味する。パイナップルや熟した柑橘系のアロマ。たっぷりとした完熟果実感がありながらも、溌溂とした酸とピュアなミネラルが心地よく、見事なバランスを保っている。
商品コード:09875E
ライヴェン村にあるクロスターガルテンの区画、特に樹齢40年以上のブドウのみ使用しており、中には第1次世界大戦直後に植えられた樹もある。「古樹」を意味するアルテ・レーベンは、熟したピーチを思わせるリッチなアロマ。クアントよりもしっかりとしたストラクチャーを持ち、古樹に由来するアフターの深み、旨みが口いっぱいに広がる。
商品コード:09876E
ライヴェン村のラウレンティウスライの区画に植わる樹齢100年超えのブドウのみを贅沢に使用。熟したピーチにアプリコット、レモンの皮、ハーブの深みある上品なブーケ。ミネラルが印象的なフィニッシュは、エネルギッシュでありながら気品に溢れている。
商品コード:09877E
ロンギッヒ村にあるマキシミン・ヘレンベルクの区画に1896年から植わるブドウのみを使用。収量は40hl/ha、年産は約4000本。南向きの赤いスレートの土壌。黄色い果実やピーチ、ハーブ系のはっきりとしたアロマ。伸びのあるきれいな酸はライムやオレンジといった柑橘果汁を思わせ、涼しげな塩味を伴うピリッとした味わいがエレガントさを際立たせる。世界最古の畑が生み出す、複雑でスケール感あふれる最上のリースリング。
商品コード:09879E
テーニッヒ村のリッチは古くからモーゼル川流域で最高の畑として格付けされていた。固いクォーツとブルースレート土壌に植わる樹齢約60年のブドウから造られる。完熟したリンゴにナッティーなニュアンスもとれる、非常に凝縮したアロマ。力強いフルボディのリースリングであり、奥深さ、密度、ミネラル感のどれをとっても非の打ち所がない。フィニッシュはほろ苦いタンニンと上質な酸が続いていく。モーゼルの神髄を知る素晴らしいグローセス・ゲヴェックス。
商品コード:11275E
Maximin Herrenberg の中でも最も傾斜が険しい急斜面に、接ぎ木なしで1902年に植樹された特別な畑。固いレッドスレート土壌のこの畑からは、よく熟したグレープフルーツやレモン、ピーチを思わせるようなリッチなアロマなどが豊富に感じられ、ふくよかな果実の中でミネラルと酸が複雑に絡み合った奥行きのあるワインが生まれる。モーゼルのエレガンスとリースリングの長期熟成のポテンシャルを味わえる偉大な1本。
商品コード:10130E
ロンギッヒ村にあるマキシミン・ヘレンベルクの区画に1896年から植えられているブドウをのみを使用。1896年当時の方法が用いられ、栽培は棒仕立て、収穫は選定せずに一括で行い、足でブドウを破砕、古典的なバスケット・プレスを使用、天然酵母で発酵させ温度調節はしない。芳醇でスパイシーなアロマを持ち、柑橘果汁を思わせるジューシーなフレーバーに古樹由来の複雑さとフィネスが備わる。計り知れないポテンシャルを感じさせる稀代の逸品。