この地のテロワールを高い次元で理解し、Raul Perezらトップ生産者と研鑽を積みながらさらなる高みを目指している。
この地のテロワールを高い次元で理解し、Raul Perezらトップ生産者と研鑽を積みながらさらなる高みを目指している。
スペイン最高峰の白ワイン産地として名高いD.O.リアス・バイシャス。とりわけ名高いのが、沿岸部に位置し、大西洋の影響を最も受けるサブ・リージョン、バル・ド・サルネスだ。この地で育まれるアルバリーニョは、フレッシュでクリスピーな酸に、潮風が運ぶ塩味、そしてこの産地で主体となる花崗岩土壌由来のミネラル感が三位一体となった、素晴らしい白ワインを生み出す。このようにリアス・バイシャスの個性を語る上で、花崗岩土壌は欠かせない要素の一つであるが、実はバル・ド・サルネスの限られた一部の畑では、シストなどの変成岩も見られ、ワインに異なるニュアンスをもたらす。こうした区画ごとの微細な土壌の違いにフォーカスし、その繊細な表現に情熱を注ぐ造り手がボデガス・フルクロである。
当主のマヌエル・モルデス・モラナは1986年に父が創業したワイナリーを2009年に継承すると、全てのアプローチを刷新し、妻シルビアとともに「ボデガス・フルクロ」として新たな歴史をスタートさせた。当初は年産4,000本程度であった小規模なプロジェクトを、畑と共に徐々に拡大。現在ではバル・ド・サルネス内に5.5haの畑を所有する。ワインを造る中で、マヌエルは所有する幾つかの区画はシスト土壌が主体となっており、それが僅かながらも明確な違いを生むと気づいた。この発見が、マヌエルが単一区画のワイン生産へと舵を切るきっかけとなる。例えば、彼の持つ「セステイラ」という区画は、北東向きで固いシスト土壌を持つ。「セステイラの北側のブドウはいつも敬遠されていたが、より際立った酸を持っていて、このシストの山が僅かな違いを生むと気づいた。このようにリアス・バイシャスには素晴らしい畑があるけれど、そうした関心がこの地には欠けていて、別の優良区画のブドウも協同組合に送られていた」とマヌエルは振り返る。こうして、同地のトップ生産者であり、友人でもあるロドリゴ・メンデスと同様、マヌエルは土壌タイプに基づくサルネスの区画化を志し、現在では、花崗岩土壌、風化したシスト土壌、固いシスト土壌、砂質が混ざるシスト土壌という異なるタイプの区画から、4種類のアルバリーニョを生産している。
マヌエルは「最高の畑と最高のブドウを常に探し求め、各ワインで最良のバランスを引き出すこと」を自身のワイン造りの哲学に掲げる。収穫されたブドウは優しくプレス後、24時間のデブルバージュを経て、6~12ヶ月の熟成を経てリリースされる。熟成では、様々な形やサイズの容器を試しながら、テロワールのより良い表現を追及しており、彼のワイン造りは日々進化を続けている。フルクロの名はまだ広く知られてはいないが、そのワインは既に著名評価誌から高い評価を得ている。特にシスト土壌からのワインは、Wine Advocate誌やJames Suckling誌でコンスタントに95点以上を獲得。2024年にはJames Scukling誌の「Top 100 Wines of Spain」にて、リアス・バイシャスではロドリゴ・メンデス、ラウル・ペレス(スケッチ)に次ぐ堂々の14位を獲得した。エル・ブジのソムリエを13年務め、現在Jancis Robinson紙でスペイン・ワインを担当するフェラン・センテーリェスも彼のワインに19/20点という素晴らしいスコアを与え、「フルクロはリアス・バイシャスで注目すべき名前の1つだ。彼はまだ最も名の知られた造り手ではない。広く知られていない今だからこそ彼の白ワインは本当にお値打ちだ。これまで3,600本以上のワインを試飲してきたが、19点を与えたのは20本のみだ。」と絶賛している。マヌエルが探求するサルネスの多様なテロワール表現は、今後のリアス・バイシャスの可能性を広げる、重要な鍵となるだろう。
商品コード:12410E
南東~南西向きの花崗岩土壌の区画を使用。グレープフルーツ、オレンジといったフレッシュな柑橘のアロマ。口に含むと果実味に加えて樽由来のボディ、複雑味が感じられる。フルーツの風味と多層的な味わいを楽しめるワイン。
商品コード:12411E
南東向きの風化したシスト土壌の区画を使用。レモンや白桃のアロマに、わずかなスモークのヒント。鋭角的な酸、凝縮した果実味、塩味を感じる味わい。余韻には心地よい樽の風味が広がる。
商品コード:12412E
北東向きの固いシスト土壌の区画を使用。柑橘のアロマに、紅茶や火打石のヒント。エネルギッシュさすら感じさせるシャープな酸が硬質的な印象を与える一方で、旨味が非常に強い。余韻には心地よいほろ苦さを楽しめる。
商品コード:12413E
南東向きの砂質が混ざるシスト土壌の区画を使用。ヨードやナッツ、干し草のような香りが主体のニュートラルなスタイル。伸びやかな酸と凝縮度の高い果実味がスケールの大きさを演出。エレガンスの中にエネルギーを感じさせる味わい。