極限まできめ細かい泡、洗練されたバランスと瑞々しい果実味を持った生命力あるシャンパーニュは、多くの愛好家と専門家から高い評価を受けている。
極限まできめ細かい泡、洗練されたバランスと瑞々しい果実味を持った生命力あるシャンパーニュは、多くの愛好家と専門家から高い評価を受けている。
エペルネから南に5kmに位置するピエリー村は17世紀後半のシャンパーニュ製法の誕生に深く関わる歴史的な村の1つだ。当時、オーヴィレ修道院のドン・ペリニヨンと共にシャンパン製法技術の確立において重要な役割を果たしたのが、この村を拠点としたベネディクト派修道士のジャン・ウダールであった。発泡性を生むための”リキュール・ド・ティラージュ”の原理はウダールが開発したと認める専門家もおり、18世紀頭にはピエリー産のシャンパンは、オーヴィレ修道院やドン・ペリニヨンと同価格で取引されていた輝かしい歴史を持つ。今日、ピエリーに広がる100haあまりのブドウ畑は標高80〜200mに位置し、ほとんどが南向き、一方はキュイの丘陵と、もう一方はシャヴォと向き合っている。ピエリー村が位置するサブリージョン、コトー・シュッド・エペルネは、ヴァレ・ド・ラ・マルヌとコート・デ・ブランに挟まれていることから、斜面下部には白亜質が広がり、沖積砂土壌、石灰岩が交じり、ヴァレ・ド・ラ・マルヌと同様に粘土や泥灰岩も交じり合った両地区の特色を併せ持った多様な土壌を提供している。
ピエリー村に拠点を置くジャン・マルク・セレックは、かつて高い名声を誇ったこの村に、再び脚光を呼び戻すかの如く躍進するスター生産者だ。初代のアンリ・セレックにより1960年代からこの地でブドウ栽培を始めたセレック家は、1969年に最初のシャンパンを生産、ワイン醸造学を学んだ2代目リシャールの時代にドメーヌの近代化が進んだ。2008年からワイナリーを引き継いだ3代目となるジャン・マルクは、豪ヤラ・ヴァレーや米ナパ・ヴァレーのメゾン・シャンドンで研鑽を積み、優れた技術的アプローチを会得し家族のワイナリーに戻ってきた。しかしこの経験の中で、セラーでの絶え間ない”修正”は、最終的には味と質感を標準化する以外に何の目的も持たない、と技術的アプローチの限界も感じ、ワインの偉大さの原材料はセラーではなく畑にあることを実感したという。ジャン・マルクはドメーヌに戻ると即座に除草剤の使用を止め、オーガニック栽培へと移行し、2010年以降はビオディナミの手法も一部取り入れた。土壌の過度な圧縮を避けるため一部は馬を使って耕作、カバークロップやリビングマルチを活用し、ハーブの調剤の使用によって土壌の微生物を活発にし、ブドウ樹の健康と深い根付きを促進している。こういった畑での選択により、ブドウのpH値を低く保ち、十分に高い自然の酸度を保ちながら、より熟したブドウの収穫が可能になるという。
2015年には最新の醸造設備を備えたセラーを建設し、グラビティ・フローを利用できる環境を整えた。特に最新の傾斜式コカールプレス(PAI)は、圧搾時に果汁を即座に冷却することを可能にし、よりブドウと果汁の完全性を保つことに繋がったという。醸造にはステンレス、バリック、フードル、卵型コンクリート、アンフォラなど様々な容器を導入し、自然酵母で発酵、区画ごとに醸造し、清澄・濾過はせず、澱との熟成期間を長く持つことを基本としている。SO2使用は最小限にし、極めて少量のドサージュに留める。セレック・スタイルの基礎は、ワインの自然なバランスと果実や土壌の純粋な表現を追求することにあり、畑での最先端の作業、健康で完璧に熟した果実、人工的介入を抑えた醸造工程、長い澱との熟成期間が、活気に満ちた、真のテロワールのシャンパーニュを生み出す要素だとジャン・マルクは強く語る。
今やジャン・マルクはコトー・シュッド・エペルネのみならず、シャンパーニュを代表するスターへと上り詰めている。2023年度版Bettane+Desseauveでは4ツ星評価を獲得し、Wine Advocateのウィリアム・ケリーは「ジャン・マルク・セレックはシャンパーニュ地方で最もエキサイティングでダイナミックな若手生産者の一人だ。ピエリーは歴史的にかなりの名声を享受したが、セレックのおかげでそれを取り戻す可能性が非常に高い。彼のワインは全てお薦めで、読者にはこれらのワインを知ることを心からお勧めする」と記している。
商品コード:12094E
各キュヴェ名には音楽の要素を反映。ソレサンスはワイナリーにとって楽譜の一番最初に表示されるト音記号のようなもので、全ての始まりであり、ワイナリーの持つ全ての畑、品種、テロワールの個性を優れたバランスで体現した1本。瑞々しい青リンゴや白い花のフレッシュなアロマ。軽快な味わいで、細やかな泡、生き生きとした酸、瑞々しさが一体となったフィニッシュ。
商品コード:12095E
通常のソレサンスの瓶熟2年間をさらに3年間伸ばしたキュヴェ。この期間に各要素がより精緻に整えられるので、ドサージュなしで自然なバランスへと近づく。蜜リンゴ、白い花、レモンジンジャーのアロマにブリオッシュのアクセント。旨味、厚み、深みが増しており、ほろ苦いミネラルを伴う伸びやかなフィニッシュ。
商品コード:12097E
キャンテットは五重奏の意。ヴェルテュ、エペルネ、ピエリー、マルドゥイユ、ディジーの5つの村のシャルドネ最上の区画を使用したブラン・ド・ブラン。それぞれの持つ個性を組み合わせた、ニュアンスに富み、バランスの取れたシャルドネ。柑橘果実や洋梨に、ブリオッシュやバターが溶け込んだアロマ。樽由来のスパイス感もアクセントとなっており、余韻は非常に長い。
商品コード:12098E
独奏曲を意するソリストは、特定の区画x単一品種によるピエリーのテロワールの表現。ピエリーのグット・ドールという区画に1951~1968年に植樹されたムニエを使用。フレッシュな柑橘果実やリンゴに白い花のアロマ。ムニエらしい柔らかなボディを持ち、ほのかな塩味を感じるフィニッシュはエレガントで非常に長い。
商品コード:12100E
独奏曲を意するソリストは、特定の区画x単一品種によるピエリーのテロワールの表現。ガイエールは西向きの畑で緩やかな丘の中部に位置し、1974年植樹のピノ・ノワールが植わる。良く熟した赤いリンゴの明るいブーケが印象的。口に含むとトーンが高く清涼感があるが、同時に力強さもしっかりと感じられる。
商品コード:12101E
独奏曲を意するソリストは、特定の区画x単一品種によるピエリーのテロワールの表現。ピエリーのタルティエールとポルジョンという区画に1985~1990年に植樹されたシャルドネを使用。フレッシュな洋梨や完熟したシチリアレモン、白い花のアロマ。クリーミーな泡とキレのある酸、チョーキーなミネラルが美しいブラン・ド・ブラン。
商品コード:12102E
パルティシオンはフランス語で”楽譜”を意味し、ドメーヌ最上の7区画から最も熟成ポテンシャルのある各1樽ずつを選び抜きブレンドしたトップキュヴェ。蜜リンゴやシトラス、白い花、ジンジャーブレッドのアロマ。アタックは力強く、中盤にはミネラルとほろ苦さを感じさせ、余韻は非常に長い。まるで7つの音符が最も調和の取れた楽譜を求めるかのように、それぞれの個性が1つになって素晴らしい味わいを奏でている。
商品コード:12271E
パルティシオンをさらに寝かせ、熟成のピークに近づいたタイミングでリリースされる稀少なキュヴェ。生産量は極めて少ない。ナッツを主体に柑橘果実も感じられる香ばしいアロマ。バターやヘーゼルナッツ、トーストの味わいを緻密に溶け込んだ酸が支えている。
商品コード:12096E
ムニエの輝き、ピノ・ノワールの品格、シャルドネのフレッシュさが調和したロゼ。熟したストロベリーやラズベリーにローズペタルやエルダーフラワーのアクセント。軽快な酸がありフレッシュだが、黒ブドウ由来の重厚感も感じられる。
商品コード:12099E
ソリスト=独奏曲の意。ピエリーのシャルミエという区画に1964~1971年に植樹されたムニエを使用。ベリーのアロマ主体にゼラニウムや蜂蜜を感じさせるアロマ。充実したボディがありながら清涼感を感じさせる軽やかなフィニッシュ。
商品コード:12103E
1er Cruディジー内、モック・ブテイユという区画に植わる1985年植樹のシャルドネを使用。ワイナリーにとってシャルドネ最上区画5つの内の1つ。みずみずしい洋梨や柑橘果実にハーブやナッツのアクセント。しなやかなテクスチャーを持つエレガントなワイン。
商品コード:12104E
商品コード:12105E