伝統的手法、産地、古いブドウ畑、エレガントなワインへの敬意”がモットーだと語るセサールのワインは、ブルゴーニュワインにも通ずる注目のワイン。
伝統的手法、産地、古いブドウ畑、エレガントなワインへの敬意”がモットーだと語るセサールのワインは、ブルゴーニュワインにも通ずる注目のワイン。
アルバロ&リカルド・パラシオスやラウル・ペレスの躍進によって、プリオラートやトロと並びスペイン屈指の赤ワイン産地となったD.O.ビエルソ。この地を代表するメンシア種から生み出される赤ワインは、エレガントさとフレッシュさを持つことから、しばしば「スペインのブルゴーニュ」とも例えられる。ビエルソとブルゴーニュの類似点は最終的にできあがるワインの味わいの方向性だけではない。この地で躍進する多くの生産者がブルゴーニュやピエモンテに倣った「クリュ」の概念を用いてワイン造りを行っている点もこの産地が目の肥えたワイン愛好家を引き付ける理由の一つだ。スペインでも地域のブドウ畑の階層を確立する動きが徐々に活発になっており、トップ産地であるリオハやプリオラートもこの道を進んでいるが、スペインのD.O.として初めてブルゴーニュ的地理的単位でワインを分類したのがD.O.ビエルソである。2019ヴィンテージより村名、プルミエ・クリュ、グラン・クリュを包括した格付けが導入されており、どの階層においても品質に対してコスト・パフォーマンスが高い点も、この産地の人気を後押ししている。
セサール・マルケスは、1988年生まれとまだ若いが、ビエルソの各区画、そしてメンシアが持つ美点を高い次元で表現する類稀なる生産者だ。セサールは1752年設立のビエルソで最も古いワイナリー、カストロ・ベントーサの9代目として生まれ、この地のカリスマ的存在であるラウル・ペレスを叔父に持つ。2007年にバレンシアの醸造学校で栽培・醸造学を学んだ後、2011年より叔父のラウルの元で働き、故郷のバルトゥイエ村のテロワールの追求を二人三脚で行ってきた。その後、叔父からカストロ・ベントーサのワインメーカーの座を譲り受け、2015年にはブルゴーニュに倣った区画毎の表現を追求した個人プロジェクト、『ボデガス・セサール・マルケス』を立ち上げた。
セサールはビエルソ最古のワイナリーのルーツを活かし、この地の最上のブドウ畑にアクセス出来るという大きなアドバンテージを持っている。彼が所有する12haの畑はすべて海抜450m以上に位置し、樹齢80〜130年の古木が植わるため、フレッシュさと凝縮感、複雑さを兼ね備えたブドウが実る。また収穫時期は味わいによる判断が最善だと考えているので、2018年より収穫前のブドウの成分分析を一切取りやめた。複数の村に広がる区画のブドウをセサール自身が試食して回り、青さがなくなり、さらに過熟にならないベストのタイミングを見極めている。醸造では、スタンダードキュヴェから区画ごとに分けて自然酵母で発酵し、木樽で熟成を行う。破砕の工程では「機械を使うと房や果梗を過度に傷つけ、グリーンな味わいが出てしまうから」と、昔ながらの足踏みでセサール自身がすべてのワインのブドウを破砕しており、栽培・醸造の両工程において小規模な個人プロジェクトならではの手間暇が惜しみなくかけられている。
”伝統的手法、産地、古いブドウ畑、エレガントなワインへの敬意”がモットーだと語るセサールのワインは、青さや過度なタンニンの抽出が一切なく、絹のように滑らかで、彼自身が大ファンだというブルゴーニュワインにも通ずる品格を見せる。初ヴィンテージの2015年を試飲したWine Advocateのルイス・グティエレスは、「2017年にビエルソを訪れた際の大きな驚きのひとつであったことは間違いない。ビエルソで注目すべき新しい名前だ」と絶賛。Decanter誌は”10 great Spanish winemakers you need to know(スペインの知るべき10人の偉大なワインメーカー)”という特集でセサールを紹介し、『彼のワインはメンシアの深遠で繊細な表現であり、マルケスを将来のテロワールワインのスターとして際立たせている』とコメントしている。セサールはビエルソという産地の注目をさらに高める次世代のスターであることは間違いなく、入手困難になる前に手に入れるべき造り手だ。
商品コード:11557E
海抜450~800m。ビエルソ内の9つの村、45区画をブレンドしており、ビエルソというエリアを高い精度で表現した1本。樹齢120年の古樹が使用されるので毎年収量は20hl/ha程度と驚くほど低くなる。ワイルドベリー主体にバラやスミレ、リコリスやトーストが交じり合った奥深いアロマ。口当たりは滑らかでジューシー、余韻も非常に長い。スタンダードながら素晴らしいバランスを見せている。
商品コード:11558E
セサールが生まれ育ったバルトゥイエ村へのオマージュ的ワイン。バルトゥイエ村からのブドウのみを使用し、余韻が長く、エレガントなワインを生み出す傾向のある粘土質、砂質土壌の区画を選びブレンドされる。熟したブラックベリー、ブラックカラントにカカオ、リコリス、砕いたブラックペッパーのヒント。しっかりとした骨格を快活な酸が支えており、複雑でスパイシーなフィニッシュ。
商品コード:11559E
ワイナリーのフラッグシップとなる単一区画からのワイン。コルジョン村にある海抜710m、北東向き、スレート土壌の畑で樹齢125年の古木が植わる。ブラックチェリーにスミレ、ハーブが溶け込んだアロマ。トーストのニュアンスがワインにアクセントを与えている。きめ細かいタンニンが溶け込んだフレッシュでエレガントなメンシア。