フラスカーティーの魅力であるふわっと軽やかながら華やかさのある味わいを実現できるのは100%火山性土壌だから。ようやく見つけた二つの条件が重なる希少な生産者。
フラスカーティーの魅力であるふわっと軽やかながら華やかさのある味わいを実現できるのは100%火山性土壌だから。ようやく見つけた二つの条件が重なる希少な生産者。
『永遠の都』ローマを州都に持ち、ヨーロッパ各地にワイン文化を普及させたローマ帝国の歴史を受け継ぐラツィオ州は、他州と比べて比較的なだらかな地形とティレニア海の影響を受けた温暖な地中海性気候を享受し、古代ローマ時代からワイン造りが盛んであった。現在でもローマのすぐ南に広がるカステッリ・ロマーニ丘陵を中心にワイン造りが活発に行われており、白ワインが州の総生産量の90%を占めている。その中でもローマ法王が愛飲し、ゲーテが「楽園のようだ」と飲み心地に酔いしれ、古くから広くローマっ子に愛されるフラスカーティは、ラツィオが誇る土着ブドウを用いた白ワインの代表格である。『質より量』が求められた時代が長かったせいで過小評価されがちだが、柔らかな果実と細かな酸とミネラル感が食欲を刺激し素材を際立たせ、料理を楽しむのに最良の友となる。その魅力を生むのは、この地ならではの火山性土壌と伝統の混植・混醸である。火山性の凝灰岩からなる土壌はキメ細かく華やかな味わいをもたらし、土に含まれる豊富なカリウムが引き出す香り高さと高い糖度は、10月まで続く天候に恵まれた長いブドウの成熟期間により更に際立つ。また品種ごとにではなく複数の品種が植えられた区画ごとに収穫・醸造する混植・混醸でのワイン造りにより、単一品種では表現できない多彩なキャラクターが内包され、品種別に栽培・醸造してブレンドするよりも個々のブドウのキャラクターがワインの中に絶妙に溶け込む。一見シンプルながらもどんな料理にも合う接点を持つワインとなるのである。
南イタリアの他の産地と同様、近年クオリティ向上に情熱を注ぐワイナリーが増えてきたが、国際的なワイン造りが取り入れられ品種ごとに栽培・醸造されることも多くなった。こうして伝統が失われつつある中で、混植・混醸のフラスカーティを堅実に守り続ける数少ない生産者の一人がヴァッレキエーザだ。1880年代よりブドウ栽培に携わる老舗のブドウ栽培家で、1995年に元詰めを開始。畑はD.O.C.の中心であるフラスカーティの町周辺の海抜約500mの南向き斜面に広がる。D.O.C.全体で見ると海抜70-500mの北西から西向きの畑が多い中で、太陽の恩恵を受けてブドウが完熟し、また海抜の高さから爽やかなキャラクターも備わるメリハリの効いたテロワールは貴重である。このテロワールの良さをクリーンに表現するため、醸造では温度管理可能なステンレスタンクを用いている。ワイン造りはいたってシンプルだが、クオリティへのこだわりは並大抵のものではなく、ベーシックなラインでさえ手作業で収穫し、更に選果している。イタリア5大ワイン評価誌のひとつDuemila Viniが「テロワールと伝統を表現しつつ、クオリティをしっかりと築いてきている」と評する通り、ガストロノミーのワインとしてのフラスカーティの本当の姿がここにある。
商品コード:08410E
クオリティにこだわり、品種別ではなく区画ごとに手作業で収穫したブドウをさらに選果し、ステンレスタンクにて低温発酵。柑橘類や洋ナシの瑞々しい香り。マルヴァジア・デル・ラツィオの華やかさ、マルヴァジア・ディ・カンディアのボディ、トレッビアーノ・トスカーノの繊細さと爽やかな酸、そしてグレコのストラクチャーが継ぎ目なく溶け込む混植・混醸ならではの味わいは、どんな料理にも寄り添う懐の深さとフレッシュさに満ちている。