フィアーノだけを生産し、『ラピオのテロワールを完璧に表現した素晴らしいワイン』と称される最高の造り手。
フィアーノだけを生産し、『ラピオのテロワールを完璧に表現した素晴らしいワイン』と称される最高の造り手。
1940年代に絶滅の危機から救われたフィアーノは、ローマ時代まで栽培の歴史をさかのぼることができるカンパーニャ独自の古いブドウである。ミツバチがブドウの甘い香りに誘われて集まるため、かつてアピアニス(ラテン語で『ミツバチに愛された』の意)と呼ばれていたこの品種から、今やカンパーニャを代表するD.O.C.G.のひとつ、フィアーノ・ディ・アヴェッリーノが生み出される。ナポリから70kmほど内陸部に入ったアヴェッリーノ県の丘陵地帯を生産地域としているが、中でもロッカ・デル・プリンチペが醸造所と畑を構えるラピオはフィアーノの原産地とされ、『特別な地』として一目置かれている。D.O.C.G.タウラジと生産地区を重複するラピオは丘が多く、フィアーノ・ディ・アヴェッリーノの他の地区と比べて土壌に石灰や粘土を多く含み、フィアーノ栽培に最も適した土地といわれている。Gambero Rossoでも「テロワールという翻訳しがたい言葉が全ての鍵となる土地」と評されているが、30年前に行われた調査で既にそのポテンシャルは確認されている。醸造所を所有するファブリッツィオ家は、ブドウ栽培農家として先祖代々受け継がれてきた畑でアリアニコを育てていたが、長年温めていた「独特のテロワールを活かした南イタリア最高の白ワインを自ら手掛けたい」という想いを実現すべく、1990年に全てフィアーノに改植。後継者のアウレリア・ファブリッツィオと夫のエルコーレ・ザレッラの挑戦が始まった。
アリアニエッロの丘の北から西向き斜面に広がる所有畑の海抜は540-620mで、ラピオの中で最も高い場所にある。斜面上部のため、日照量は理想的で風通しも良く、よく熟した健康なブドウが得られる。また、地理的条件による涼しい気候と昼夜の寒暖差により酸度が高く保たれ、土壌からは豊かなミネラルが与えられる。これらの特徴を最大限に備えたブドウを得るため、畑作業を入念に行い、収量もDOCG規定の約半分である30-35hl/haまで厳しく制限。ゆっくりと成熟するブドウに合わせ、収穫も10月と遅い。醸造・熟成の全行程にはステンレスタンクを使用。ピエトラクーパやペリッロでもコンサルタントを務めたカルミネ・ヴァレンティーノ監修の下、特徴的な酸やミネラルの表現に重点を置き、ブドウの良さを感じさせる柔らかな果実の中にも気候・畑の位置・土壌が織りなす『緊張感』が感じられるワインを生み出している。
「ブドウのクオリティがようやく納得いくレベルに達した」という2004年から実際にワイン造りを開始したが、既にGambero Rosso 2009に初掲載で2007年ヴィンテージがトレ・ビッキエーリを獲得しただけでなく、『La Cantina Emergente(新進気鋭の醸造所)』にも選出。「ラピオのテロワールを完璧に表現した素晴らしいもの」と絶賛を受け、見事夢を実現させた。カンパーニャ全体の品質向上により、他地域に比べ競争の激しい中で成し得た素晴らしい快挙である。また、同誌の2010年度版でも続くヴィンテージがトレ・ビッキエーリに選ばれており、今やフィアーノ・ディ・アヴェッリーノ最高の造り手という名声を確実なものとしている。
商品コード:06793E
フレッシュな果実や青いハーブとともに、フィアーノらしいアカシアの蜜やほのかなナッツの香りが豊かに広がる。甘く優しい果実を溌剌とした酸が支え、土壌由来のミネラルがくっきりとした輪郭を描く緊張感のある味わいである。余韻は長く、ほろ苦さが心地よい。ラピオのテロワール、そしてフィアーノの特性を完璧に表現した1本。