熟した低収量の果実をシンプルに仕立てたカブロルはそのテロワールを最大限に引き出しており、あらゆる魚介類と最高のマリアージュを示す万能選手。
熟した低収量の果実をシンプルに仕立てたカブロルはそのテロワールを最大限に引き出しており、あらゆる魚介類と最高のマリアージュを示す万能選手。
ラングドックでブドウ品種をAOC名に冠する唯一のアペラシオン、ピクプール・ド・ピネ。コトー・デュ・ラングドックのクリュのひとつで、地中海に面した同国屈指の大きさを誇る湖、トー湖周辺の6つのコミューンから成る。この地方最古の土着品種ピクプール・ブランから白のみが造られており、オクシタン語で「ピクプール=唇を刺すもの」を意味する通り、高い酸を持つ品種の特徴が、石灰豊富な土壌、北風と潮風の影響から内陸部よりも涼しい気候と相まって、引き締まった酸、堅牢なミネラル、華やかな香りを身上とする。17世紀には既に評判を得ていたこのピクプールというブドウのポテンシャルと、それを育むべく存在するかのようなテロワールを余すことなく表現するため、惜しみない情熱を注いでいるのがドメーヌ・カブロルである。45haの所有畑はローズマリーやラベンダーなど、地中海性の植物相が豊かなガリーグと呼ばれる灌木地帯に広がっており、石灰を主体に、粘土や砂、鉄分を多く含む赤土等、変化に富んだ土壌を持つ。1969年にジャン・ルイ・カブロルにより設立されたこのドメーヌは、1995年にセラーの大改築に着手し大きな変革の時を迎えた。
地盤改良の結果、セラーの湿度と温度が最適に保たれるようになり、ブドウの受け場よりもプレス機や発酵槽を低い位置に設置することで、ブドウに負担をかけることなく醸造工程を進めることも可能となった。また、ピクプールのフレッシュさを保つため、夜に収穫されたブドウはステンレス製のトレーラーで真空状態の中、45分以内にセラーへと運ばれる。このような技術革新に加え、ブドウではなく土壌自体に力を与える有機農法による栽培プログラムや、収量制限、海からの霧が畑を覆う9月半ば以降に行われる遅い収穫により、ピクプール・ド・ピネの品質向上をもたらした。現在、精力的にドメーヌの指揮を執る息子のマルク・カブロルは、元会計士という異色の経歴の持ち主だが、若いころから自由になる時間の大半をブドウ畑で過ごしてきた生粋のヴィニュロンである。ラングドックの60以上ものドメーヌでコンサルタントを務めるフランシス・カルドについて現場でワイン造りを学ぶマルクのワインには、これぞピクプールという酸とミネラルに加え、ブドウの出自の良さが滲み出る豊潤なエキスすら感じられる。アペラシオンの眼前に広がるトー湖は牡蠣の名産地として知られているだけあり、牡蠣はもちろんのこと、あらゆる魚介類との最高の相性は素晴らしい。青い地中海に吹く一陣の風のような、潮の香と爽やかさ漂うこのワインが、新たなマリアージュを知る喜びを与えてくれることに疑問の余地はない。
商品コード:07058E
海に近く、比較的涼しい気候と石灰豊富な粘土や砂質土壌持つポメロールの畑のブドウを使用。黄色い柑橘類やアカシアの花の香り。密度のある果実、シャープな酸、堅牢なミネラルが織りなす味わいは気品に満ち溢れている。ブドウとテロワールの特性がいかんなく発揮された、お手本となるべきピクプール・ド・ピネ。