イタリアにおける銘醸地の筆頭ピエモンテ州において重要な黒ブドウ品種といえば真っ先にネッビオーロが挙げられるが、バルベーラ100%で作られ新たなDOCGとして今最も注目を浴びるアペラシオン、ニッツァを忘れてはならない。元々高品質なバルベーラの代表的な産地として知られるバルベーラ・ダスティのサブゾーンとしてその品質を以前から認められ続けてきたこのニッツァだが、ついに2014年ヴィンテージから一つのDOCGとして独立を果たしたのである。フラスカのオーナーであるカーティス・フラスカは元々ニューヨークで起業家として働いていたが、ニッツァのバルベーラと出会いその繊細なエレガンスとテロワールを如実に映し出すスタイルに心を奪われ、それから長い間この地でテロワールを表現したワインを自らで造りたいと願い続けてきた。そしてその想いはアスティ生まれの醸造家マッテオ・ジェルビとの出会いにより実を結ぶことになる。マッテオはブルーノ・ジャコーザやG.D.ヴァイラといった名門ワイナリーで豊富な経験を積んだ情熱ある醸造家で、彼との出会いの後カーティスは温め続けたヴィジョンを実現させるべくイタリアへと戻り、2018年にニッツァ・モンフェッラートにて念願のワイナリーの歴史をスタートさせた。
フラスカのワイン造りにおける哲学は「エレガントでバランスが取れフィネスを持ったワインを生み出すこと」であり、そのために決して特別な手法や技術を用いることはなく、あくまでブドウ栽培家そしてワイン醸造家としてプロフェッショナルな仕事を追求することが重要だと言う。栽培においては自らの細やかな手作業により環境にも配慮した栽培を行った自社畑のブドウのみを使用することにこだわり、醸造面ではテロワールの表現の邪魔になり得る過剰な要素を抽出しないよう果皮の過度な破砕を避けパンチングダウンを行わないなど一つひとつは決して目新しいことではないがそれらを実直に行っているからこそ果実のアロマが前面に表現され、エレガントでバランスの取れたフィネスを携えたワインを生み出すことができているのだ。その結果Gambero Rossoにおいても「実にエレガントで透明感のあるアロマがあり、なめらかでジューシーな余韻を持つ」と評されている。このスタイルは、バルベーラのみならずこの地域の重要な土着黒ブドウであるフレイザやグリニョリーノから作られるワインにも当てはまっている。
またブドウ畑に設置された気象観測所から得たデータの分析により、薬剤散布の必要性を最小限に抑える等サステナビリティも重視している。その結果、環境と人々の健康を尊重した農作物生産の実施を認定するイタリア農林食料政策省によるサスティナブル認証・SQNPIも取得している。テロワールを構成する自然環境や歴史、そしてその地に住む人々へのリスペクトを持ち、熱い情熱を持ってテロワールに向き合い造られたエレガントな彼らのワインは、クラシカルなニュアンスを持ちつつも伝統に囚われ過ぎないクリーンなスタイルで、バルベーラの新時代を代表するワイナリーとなっていくことは疑いようがない。
商品コード:11452E
標高180mのニッツァ・モンフェッラートにある北西向きの1haの畑のブドウを使用。アルネイズを植えている畑には砂の深い層があり、酸とミネラルを与えている。そのアルネイズから熟した柑橘系のフルーティなアロマを、リースリングからはフレッシュさとオイリーさを享受しており、バランスの取れた素直に美味しいと楽しめる白ワイン。
商品コード:11453E
標高190mのアリアーノ・テルメにある南西向きの1haの畑のブドウを使用。赤いフルーツのキャンディー、バラの香りに心地よい甘やかなスパイスのヒント。口当たりはフレッシュで優しいタンニンを感じ、バランスが良く軽やかな赤いフルーツのフレーバーが広がる。食事と共に楽しみたいワイン。
商品コード:11454E
標高170mのモアスカにある1.2haの東向きの畑のブドウを使用。チェリーやフランボワーズなどの赤い果実のアロマに、非常に複雑なスパイスのニュアンス。美しくしなやかなテクスチャーでありながらしっかりとしたタンニンも感じることができる。雑味の無い、魅力的で記憶に残るような余韻が続く。
商品コード:11455E
標高150-210mのモアスカ、ニッツァ・モンフェッラート、アリアーノ・テルメにある畑のブドウのブレンド。プルーンやチェリーの豊かな果実に、スミレやシナモン、カカオのヒント。大らかでしっかりとした骨格を持ち、凝縮度が高く、豊かで柔らかいタンニンがある。フラスカの実力を知るためのバルベーラ。
商品コード:11456E
標高170-220mにある2.5haの畑からのブドウを使用。香りは非常に複雑で、小さい粒の赤系果実が素朴に香り、スパイスやバルサミコ、甘草のニュアンスが顔を覗かせる。味わいは非常に丸みを帯びており、フレッシュさとともに心地よいタンニンが広がる。香りにもあったフレーヴァーが長く続く。