その品質はWine Advocateの初訪問時に「注目に値する非常に本格的なシャンパーニュ」と言わしめるほど。生産本数は少なく入手困難なワイナリーである。
その品質はWine Advocateの初訪問時に「注目に値する非常に本格的なシャンパーニュ」と言わしめるほど。生産本数は少なく入手困難なワイナリーである。
グラン・クリュのクラマンにて1885年にブドウ栽培家として創業したギボラは、5代目となる現当主リシャール・フーケが、祖母の代から始めていた自社詰めを本格化させたことでレコルタン・マニピュランの道を歩み始めた。1995年に20歳の若さでワイナリーを受け継いだリシャールは、1996年より自身のワインを手掛け、現在、妻カリーヌとともに二人三脚でブドウ栽培・醸造を行っている。リシャールの祖母の代に拡大し、今日のドメーヌの礎となっている8haの畑は、4haをコート・デ・ブランの3つのグラン・クリュ(クラマン、シュイイ、オワリー)に、残りの4haをヴァレ・ド・ラ・マルヌのマルドゥイユに所有している。現在も最上の4haの畑からのブドウを残して、残り半分は大手メゾンに販売してしまうため、ギボラのシャンパーニュの生産本数は年間35,000本程度と非常に限られている。栽培比率の90%をシャルドネが占め、ヴァレ・ド・ラ・マルヌのムニエ100%で造られる1アイテムを除き、全てコート・デ・ブラン、グラン・クリュからのブラン・ド・ブランのみを生産していることから、「シャルドネのスペシャリスト」として近年注目度が高まっており、夫妻は2014年に同じ志を持った10の生産者と共に「パッション・シャルドネ」という団体を立ち上げている。「重要なのは、バランスとポテンシャルを見極めること。ワインの品質は自分達の手で作り上げられるものではなく、ブドウが作り出す。私たちはその品質を維持するだけで、テロワールを最大限に表現するため、手を加えるのは最低限の作業のみだ。」そう話す2人のフィロソフィーには、自然とテロワールへの敬意がひしひしと感じられる。
栽培はオーガニックで行い、手作業による畑の管理、耕作を大事にしており、「良いブドウが収穫できれば、良いワイン造りはシンプルになる」という考えから、収穫時期には沢山の時間と手間をかけている。重要視するのは、”酸度と糖度のバランスとフェノール類の成熟度を見極めること”。収穫日の15日前になると、各区画を2〜3日ごとに回り、ブドウの試食に加え、1kg分のブドウでプレスジュースを作り、ブドウ粒だけでなく、ジュースの味も見ながら各区画の最適な収穫時期を判断するという徹底ぶりだ。 醸造では区画ごとの収穫、醸造を精緻に行うため、2000kgの小型プレス機を導入。キュヴェ(一番搾り)のみを使用し、例外的に一部オーク樽を用いるムニエを除き、すべてステンレスタンクで醸造と熟成を行う。ブドウの成熟度が満足いくものであれば、基本的にMLFは行わない。SO2の添加も最小限に抑えるが、健全なワインを維持するために衛生管理にも非常に気を使い、生産されるワインと同量の水を洗浄に使用するという。ドサージュは0〜3g/Lと低めに抑え、チョーク土壌に育つシャルドネのミネラル感、塩味、長い余韻といったテロワールの美点をしっかりとワインに映し出している。
Vinousのアントニオ・ガッローニは「ギボラは近年出現した新しい若手ドメーヌの1つ。彼らのシャンパーニュは非常に表現力豊かで個性的だ」と評し、2021年に初めてドメーヌを訪問したWine Advocateのウィリアム・ケリーは「土壌を耕し、収量を抑えた真面目な農作業が、ドサージュは控えめながら、凝縮感のある切れ味の良いワインを生み出している。初めての訪問であったが私は非常に感銘を受けた。読者の注目に値する非常に本格的なシャンパーニュだ」との言葉を残している。ブドウの販売契約の関係から、今後生産量が大幅に増える見込みは立っていないが、素晴らしいブラン・ド・ブランの造り手として今後さらに注目度が高まることは間違いない。
商品コード:11562E
ヴァレ・ド・ラ・マルヌにあるマルドゥイユ村のムニエを100%使用。コート・デ・ブランの生産者であるギボラがムニエのワインを造ることに対し、マルヌの生産者から批判を受けた経験から「禁止」を意味するプロヒビションと名付けた。ステンレスタンクをメインに用い、ふくよかさではなくフレッシュさに焦点を置いた溌剌としたチョーキーなムニエ。
商品コード:11964E
所有するグラン・クリュの畑からのブドウをヴィンテージに合わせてブレンド。チョークのタッチを感じられるギボラを象徴する1本。瑞々しい柑橘果実主体に白い花や蜂蜜、ブリオッシュのヒント。充実した果実味をシャープな酸とミネラルが彩っている。
商品コード:10888E
グラン・クリュ、シュイイの2区画を使用。モンテギュはシュイイ最上と言われる”サランの丘”に位置する南向き区画、1969年植樹でワインにボディとボリューム感を与える。コレは1946年植樹の北~北西向きの区画でワインにフレッシュさ、余韻の長さを与える。ワイナリーの最上キュヴェにふさわしい複雑性とエネルギーを備える卓越したブラン・ド・ブラン。