エトナが注目産地となる前から伝統の混植混醸でワインを造り続けてきた、真のエトナを知る、後進とは比較にならない生産者。味わいは古樹からのエネルギーを中心にエレガントを極める。
エトナが注目産地となる前から伝統の混植混醸でワインを造り続けてきた、真のエトナを知る、後進とは比較にならない生産者。味わいは古樹からのエネルギーを中心にエレガントを極める。
戦後、ワイン造りの近代化から取り残され、一時は質より量が追及されたシチリアであったが、ここ十数年でそのポテンシャルが再発見され、イタリア有数のワイン産地となった。中でも、ミネラルを多く含む火山性の土壌が特徴であるエトナ山の標高の高い北側斜面では、シチリアの太陽からパワーが、昼夜の激しい気温差からエレガンスが、独特の黒い溶岩由来の土壌から豊富なミネラルがもたらされ、「シチリアで最も上質なワインが生まれる地」として、土着ブドウのネレッロ種を用いたワインが世界の批評家、愛好家から大きな注目を集めている。
ボナッコルシは1763年からエトナ周辺にブドウやオリーブの畑など広大な土地を所有する一族で、医師でありワイン愛好家の前当主ヴィンチェンツォ・ボナッコルシの趣味が高じて、ブドウ栽培だけでなく醸造も行うようになった。当初、ワインは自家消費もしくはバルク売りされていたが、1997年より本格的にワイン造りを開始。所有の醸造施設がなかったため、その当時十分な設備と確かな技術を持った唯一の造り手であったベナンティのセラーを借り、シチリアワインの第一人者であるサルヴォ・フォーティの指導の下、ワインの品質を向上させていった。畑が位置するのは、優れたワインを生み出す条件が全て揃ったエトナ山の北東斜面の標高650-800m地点で、ブドウ栽培には化学薬品を用いないビオロジックを採用。恵まれたテロワールを誇る昔ながらのテラス状の畑には、最高樹齢80年のブドウを含め、ネレッロ・マスカレーゼとネレッロ・カプッチョがアルベレッロ(ゴブレと同様の株仕立て)で混植されている。この伝統の仕立て方法では、収量が自然と制限され、ブドウが理想的に成熟するため、ワインには凝縮感と力強さが備わる。また、アルベレッロでは樹間が狭くなりトラクターで耕運する余地がなく、ラバを用いて畑を耕しているが、これにより土が空気を含んで柔らかくなり、ブドウの樹が地中深くまで根を伸ばし、土壌の豊かなミネラルをよりよく吸収することが可能となる。これらエトナ伝統の手法について、ヴィンチェンツォの娘アリーチェは「エトナで良いワインを造るための一番の方法」だと語る。
大学で農耕学を修め、1992年からブドウ栽培を手伝ってきたアリーチェは2003年に醸造所を譲り受け、現当主として実質的な舵取りを担うようになった。父からワインへの情熱も受け継いだ彼女は、夫のロザリオとともに、自らの一族が深く根ざすエトナという土地で育まれた伝統を守り、エトナの本質をワインに映し出すことを目指している。2004年にランダッツォに自社の醸造施設を購入したため、ベナンティとサルヴォ・フォーティから離れたが、今もこの姿勢に変わりはない。現在エノロゴとして醸造に関わるのは、アルゼンチン、オーストラリアで修業を積み、トスカーナのサン・ジュスト・ア・レンテンナーノを始め、数々のワイナリーのコンサルタントを務めるフリウリ出身のマリンカ・ポレンチック。醸造施設と同じく入手したランダッツォのコントラーダ(シチリアで『クリュ』の意味)、クルチ・モナーチから、木樽にて自然酵母で発酵・熟成させた上級キュヴェも新たに手掛けており、今後さらにエトナの魅力が詰まったワインを世に送り出すことは間違いない、シチリアの有望株である。
商品コード:06748E
海抜850mという高所にあるミネラル豊富な火山性土壌の畑にて伝統の仕立てアルベレッロで栽培される土着ブドウ100%で造られる。リンゴや洋ナシ、レモンの香りはフルーティかつ繊細。しっかりとしたミネラルと心地よい酸も同時に感じられる。
商品コード:06749E
エトナの著名生産者の畑の多くが位置するランダッツォとカスティリオーネ・ディ・シチリアの標高750-800m地点の畑の土着ブドウを混植・混醸。香り高く、しなやかな果実はジューシーで甘く、赤いフルーツとエキスがたっぷりと感じられる。品のある酸、細かなタンニンともにバランスが素晴らしく、非常にピュアで美しいスタイル。ピノやネッビオーロ的なネレッロの特徴が類稀なるテロワールにより引き出されたエトナを代表するワインである。