ドメーヌ・シルヴァン・デュソーは、ムルソーのスター生産者が集う中心地に居を構えており、それは、かのコシュ・デュリの真向かいという、まさに特別な立地である。ドメーヌの歴史は1870年代に現当主のシルヴァンの両親が畑を購入したことに遡るが、当時はコルクやボトルの販売が本業であった。本格的にワイン造りに注力し、現在のワイナリー名でドメーヌ元詰めを始めたのは1982年、シルヴァンの代になってから。彼はボーヌで栽培を学び、樽職人であった祖父母の住まいを継承。設備を導入して品質を向上させ、畑も6.5haまで開拓していった。そして今、ドメーヌは新たな時代を迎えている。2021年、シルヴァンの娘であるアンヌ・カロリーヌが参画。彼女はビジネススクール卒業後、ニューヨークでワインビジネスを学びドメーヌに戻った。2023年からは栽培・醸造ともに彼女が主導しており、ピエール・ボワッソンやコシュ・デュリのラファエル・コシュといった名だたる生産者とも親交を深めながら、ドメーヌに新しい風を吹き込んでいる。


所有する6.5haの畑には樹齢の古い木が多く受け継がれており、栽培はオーガニックに近いリュットレゾネを実践している。そのアプローチは近年さらに徹底され、現在では除草剤の使用を完全に中止し、新しいトラクターによる耕作で雑草を管理。殺虫剤に関しても硫黄や銅を使用し、最低限の散布で済むように、効率的な散布装置を新たに導入した。なによりも土壌の健康を第一に考え、土壌の圧縮が起きないよう機械の使用は必要な時に限定している。また、娘のアンヌは毎日のように畑に赴き、非常に丁寧な畑作業を行うよう心掛けているという。
醸造はクラシカルな手法で行われるが、アンヌの参画によって大きな変化がもたらされた。それは、樽への回帰である。2022ヴィンテージ以降、彼女はAOCブルゴーニュ・アリゴテ以外、すべてのキュヴェを樽で発酵・熟成することを決めた。元々は樽職人であったという家族の歴史、そして「ブルゴーニュのノウハウは樽を使うことにある」という彼女の信念が、この決断を後押しした。樽を使うことで各ワインがユニークな個性を持ち、ワインと樽がより深く馴染むと彼女は考える。そのこだわりは樽の選定にも表れており、ビヨン社とベルトミュー社というトップクラスの樽メーカーから購入している。ビヨン社は、名誉ある国家最優秀職人章(M.O.F.)を受賞したマスター・クーパーが率いており、一方、ベルトミュー社は「プレ・トースティング」という最新技術を保有する。これは、蒸気を利用する技術であり、火でのトースティングの前に蒸気で木材を加熱することで、その後の火入れを長く穏やかに行える。樽が持つタンニンが抑えられ、出来上がるワインは、果実味がより引き立つと考えられている。また、かつては、コシュ・デュリやピエール・ボワッソンから使用済みの樽を譲り受けたこともあるといい、彼らとの深い関係性を物語っている。


彼らのワインには、世界の評論家たちの注目を集めている。著名なワイン専門誌Vinousは、「次世代が名を受け継ぎ、新たな活力を与えやり方を変えていく過程を目の当たりにするのは、常に喜ばしいこと。今後も注目すべき」とコメント。ブルゴーニュワインに対する世界的な評論家スティーン・オーマンも高く評価。「将来、更なる称賛を得ることになると期待している。彼らは間違いなくそれに値する。」ドメーヌ・シルヴァン・デュソーは、今、まさに世界の注目を浴び始めているのである。

商品コード:12493E
ムルソー・コミューンのブドウを主に使用し、樹齢は40~80年。レモンの皮、リンゴ、ほのかにハーブを感じるアロマ。口に含むと、適度な厚みがありながら、快活な酸と苦みを伴うミネラル感があり心地良い余韻につながる。

商品コード:12494E
果実の熟度が高く、オレンジの皮、リンゴ、洋ナシのコンポート、アカシアの花などのアロマが豊かに感じられる。味わいはバランスが良く、果実の香りとオークのニュアンスが調和し、長い余韻がある。

商品コード:12495E
2つの区画、 Les TessonsとLes Pelles Dessusのブドウを使用。果樹園を思わせるアプリコットや黄桃の黄色い果実に、カモミールやアーモンドなどのアロマが感じられる。口当たりはバランスが良く、最初から最後まで張りがあり、長い余韻にはレモングラスのニュアンスがほのかに漂う。

商品コード:12496E
白桃やイエロープラム、カモミールのアロマに、わずかにブリオッシュやヘーゼルナッツ、砕いたアニスなどの香りが溶け込み、多層的なアロマが感じられる。ミディアムボディで、口に含むと心地よいミネラルが感じられ、バランスの取れたフィニッシュにつながる。生産本数は3樽程度のみ。