シャンボール・ミュジニーという誰もが羨むようなエリアで再始動した、ドメーヌ・モド・ギヨン。当主は、200年の歴史を持つモド家の6代目、アドリアン・ギヨンであるが、現在に至るまでのワイナリーの道のりは平坦なものではなかった。1820年から長きに渡りブドウ栽培とワイン造りを手がけてきたモド家であったが、転機が訪れたのは5代目当主であるアドリアンの祖父、ミシェル氏が引退を目前に控えた時期だった。後継者になるはずのアドリアンの叔父が急逝。この悲しい出来事により、ワイン造りは断念せざるを得なくなり、大切に守ってきた畑は近くのワイナリーに貸し出すことになった。時は流れ、現在の当主であるアドリアンは、若くして祖父の情熱と家族の歴史に心を動かされ、ワインに情熱を注ぐようになる。ランスの専門学校で栽培と醸造を学び、卒業後は、ニュイ・サン・ジョルジュのドメーヌ・ルモリケやシャサーニュ・モンラッシェのラ・ヴージュレなどで研鑽を重ねた。晴れて2022年、家族の畑が返還されるタイミングで自身のワイナリーを立ち上げることを決意。ワイナリーの名前は、5代目祖父の苗字「モド」と自身の苗字「ギヨン」を合わせてドメーヌ・モド・ギヨンと名付けた。
現在、ドメーヌが所有する畑は4.4haあり、そのうち約2haでAOC Chambolle Musigny、残りの約2haでAOC Bourgogne AligoteとCoteaux Bourguignonsが造られている。先述のドメーヌで培った経験を活かし、オーガニックに基づいた畑づくりを実践。認証は取得していないが、化学肥料は一切使わない。手作業による剪定と収穫を徹底しており、茎まで完熟していることを確認したうえで、房ごと収穫を行う。約40〜80年の古樹からは、凝縮感がある果実が生み出されている。
醸造においても、修行で身に着けた手法を存分に活かしている。介入が少なくブドウへのストレスが少ないワイン造りを目指し、発酵初期のピジャージュは人の足で行う。人の足は柔らかいため、種が砕かれることはなく、果皮や果肉を優しく破砕し、より繊細な抽出を実現している。また、ブドウが破砕されているのを確認しながら進められるので、正確な抽出を狙うことが出来る。これは、かつてコント・アルマンに在籍していたパスカル・マルシャンやピエール・ヴァンサンが醸造責任者として関わったラ・ヴージュレでも採用されている手法である。
2025年時点で若干25歳のアドリアン。「本物のChambolle Musignyを表現したい」と考えており、凝縮感のある果実味が感じられつつもアタックは穏やかで、中盤を支えるタンニンと、エレガントでのびやかなフィニッシュをもつワインを追求している。現在も一部の畑は貸し出されており、その中には有名なジャンテ・パンショに貸している畑も含まれる。今後、これらの畑が返還されれば、ドメーヌ全体の栽培面積は最終的に7haになる見込みで、将来が非常に楽しみである。
商品コード:12360E
1944年に植樹。キイチゴやサワーチェリー、ウメを思わせるチャーミングなアロマに、鮮やかな酸が軽快さを添える。軽やかで細やかなタンニンがワインにほどよい輪郭を与え、果実の旨味を伴った余韻が楽しめる。
商品コード:12361E
1974年に植樹。FoucheresとMal Carreesの区画のブレンド。小粒の赤系果実やバラのアロマ。アタックからしっとりとした質感と密度のある果実味がエレガントに口中を満たす。果実の甘やかさと酸、ミネラルが一体となって繊細な調和を生み、シャンボールらしい静かで美しい余韻が続く。