コート・シャロネーズ地区は、長い間コート・ドールの陰に隠れていた。味わいは、細く、薄く、時にあか抜けないと評価をされていたが、近年の気候変動が影響し、ブドウは良く熟すようになり、確実に品質が向上しており、注目生産地となっている。この地区で最も注目される生産者のひとつであるドメーヌ・グフィエは、1872年にメルキュレイとリュリーに隣接するフォンテーヌに創設された150年の歴史があるドメーヌである。現当主のフレデリックはフォンテーヌ出身で元々はワイン法を専門とする弁護士だったが、長年に渡り親交のあるグフィエ家から全幅の信頼を得て2011年にドメーヌを引き継いだ。現在は約8haの畑を所有しており、最大40人のチームでテロワールを尊重した、和やかなひとときに理想的なワインを作るため懸命に畑作業に没頭している。
良いブドウが良いワインを造るという信念のもと、テロワールを尊重し、その多様性を高めることで優れた品質のブドウを生産するために有機農法にこだわっている。2019年に有機農法に転換をしているが、それまでの期間に畑へ綿密な働きかけを行ってきた成果であると、フレデリックは自負している。ビオディナミと同じようにプレパラシオンの使用などを行っているが、認証はとっていない。認証を取得することによって生まれる制限が、逆に足枷になる可能性があると考えた結果である。また、混合栽培にも力を入れている。「混合栽培のメリットは、ブドウだけを植えている畑よりも、様々な木や植物が生息している畑の方が、その多様性ゆえにブドウの生命力が強くなることだ」とフレデリックは語る。
「目的はコート・シャロネーズのテロワールをしっかりとアピールすること」、「僕たちはフィネス、果実感、豊かな味わいというスタイルを目指している」というフレデリックの言葉からもわかるように、ワインは質の高いブドウから得られる果実のピュアさとフィネスを存分に感じさせるスタイルだ。醸造・熟成においては、アンフォラの導入やスキンコンタクトなど、常に新しいことに挑戦している。アンフォラの使用に挑戦している理由は、今後良質なオーク樽の入手が困難になる可能性が高いと予測しているためだという。ステンレスタンクでは酸素との接触がなく、アンフォラの方が樽に近い要素を持っているとフレデリックは考えている。アンフォラはイタリアのTAVA社を使用している。
また、樽選びにも強いこだわりを持っている。全ての樽をドロー社と独占契約し、各キュヴェにとって最高の樽を供給してもらう為の協力関係を構築している。ひとつひとつのキュヴェに応じて、木材の産地や焼き加減を細やかに選択しており、現在では新樽は少し大きい450L樽を購入している。また新樽比率を年々下げているが、それは新樽率が低い方がボトリング後早めに楽しむことができるという考えに基づいている。フレデリックは評論家からの評価を得ることに全く興味がなく、サンプルを提供しないため、目立った評価は未だついていない。一方フランス国内では、名だたるワインショップがこぞって取り扱い、来訪者にお勧めをする知る人ぞ知る大注目の生産者である。特にボーヌのレストランやワインバー、ワインショップでは入荷後即完売という状況で、現地でも入手は難しい。コート・シャロネーズの枠を越え、ブルゴーニュのこれからを担う、押さえておくべき生産者の筆頭格であることは間違いない。
商品コード:11535E
標高300m Fontainesの樹齢30年の畑。溌剌としたかんきつ系の酸味がはっきりと感じられる。非常にフレッシュでフルーティーなワイン。
商品コード:11536E
標高300mに位置するFromangeの樹齢30年の畑。
明確なピンクグレープフルーツの風味が感じられ、仄か心地よい苦みが余韻に残るのが印象的なワイン。
商品コード:11537E
標高400m Jamblesの樹齢30年の畑。ラズベリーなどのチャーミングな風味があり、優しい雰囲気を持ったワイン。
商品コード:11523E
標高200mのCharmeeに位置する樹齢30年の畑。レッドプラム、レッドベリーなど成熟度の高い赤系果実の風味が感じられる。なめらかだがしっかりとしたタンニンが全体を引き締めている。
商品コード:11326E
1548 年には既に国王や高官などの賓客に振舞われていた由緒ある畑。ドメーヌが所有するのは 0.81 ヘクタールの区画で、上部は軽い砂質土壌、下部は粘土と黄土質で構成される。深い色合いとスパイスや黒い果実の香りが特徴で、アタックから主張があり、程よい余韻が楽しめる。