ミゲルの母の名を冠したフアン・ヒル最大級のプロジェクト
ミゲルの母の名を冠したフアン・ヒル最大級のプロジェクト
フミーリャを一躍注目産地に押し上げ、その後もスペイン国内のポテンシャルある土地と土着品種に注目し、素晴らしいワインを産み出してきたフアン・ヒル。彼らの類稀なる成功は、有名D.O.そのものではなく、マイナーながらも優位性のあるテロワールから、リッチな味わいでコストパフォーマンスの高いワインを提供してきたことにも起因している。しかし2017年、彼らはそれまでのアプローチとは異なる新たなプロジェクトを立ち上げた。スペイン最上の産地と名高いリオハへの挑戦だ。スペイン全土を見渡してもD.O.C.a Riojaが別格の産地であることは疑いようがなく、4代目の現当主のミゲル・ヒルもいつの日か造りたいと願ってきたワインだった。このプロジェクトには1916年にヒル家がワイン造りを始めて以来最大規模の投資を行っており、2012年に亡くなったミゲルの母ロサリオ・ヴェーラの名をワイナリー名に冠していることからも並々ならぬ意気込みが感じられる。ロサリオは夫であったフアン・ヒルを若くして亡くした後、身を粉にして働きながら9人の子供を立派に育て上げた女性で、ミゲルにとって偉大な母への敬意と感謝がこの挑戦へのモチベーションになっているという。
産地自体の有名、無名を問わず、フアン・ヒルのフィロソフィーは「投資すべきは畑と醸造設備」と明確だ。彼らが見つけた畑はリオハの中でも最も面積の小さいサブ・リージョンであるリオハ・アラヴェサに位置する。エブロ川左岸にあり、ブドウ畑は南向きの斜面に多く広がる。大西洋からの影響を受け昼夜の気温差があり、土壌は粘土質と石灰岩がメイン。若飲みから熟成向きまで、香り高く果実味の素晴らしい赤ワインを生み出すとされている。フアン・ヒルの所有する畑は平均標高が585mで平均樹齢は50年にも及び、エレガンスを兼ね備えた旨味溢れるワインを産み出す。醸造を行うのはアルタディでアシスタント・ワインメーカーを務めていた地元出身の女性醸造家マルタ・アペラニス。リオハのテロワールを知り尽くした彼女は、現地栽培家との太い繋がりから優位性ある畑の獲得も可能である。ワイン造りにおいて目指しているのは「無理にリオハの伝統に倣うよりも、自分たちが美味しいと思うワインを造ること」。収穫は手摘みで行い、厳しい選果を経たブドウを小型のステンレスタンクで発酵。熟成はフレンチオークのバリックで行うが、その期間は10ヶ月程度にとどめる。これによりロサリオ・ヴェーラのワインは、たっぷりとしたジューシーな果実味にバニラやウッドスモークのヒントが溶け込んだ、モダンで艶のある”フアン・ヒル・スタイル”のリオハに仕上がっている。
リオハへの挑戦についてミゲルは「生産者として覚悟を決めた証だ」と語っている。このフアン・ヒルによるスペイン最上産地への挑戦は、世界のスペインワインへの注目度をまた一段引き上げる事に寄与するだろう。
商品コード:10842E
熟したダークベリー、ブラックチェリーに、スミレ、ラベンダー、紅茶、クローヴが混じりあった表情豊かなアロマ。ほのかにバニラとウッドスモークのヒントが感じられる。果実味豊かなボディには、滑らかなタンニンが溶け込み、中心にはしっかりと酸が感じられる。