地域の多様性と独自のブドウ品種により、個性溢れるワインの宝庫であるスペイン。ワイン商として様々な造り手と交流を重ねる中でその魅力に目覚めたラファエル・デ・ハーンは、スペイン各地からの心浮き立つようなワイン・コレクションを生み出すべく2006年にボデガス・アバニコを設立。大学で農業を学び、テッラ・アルタでブドウの品質管理を監督していた妻のヌリア・アルテスをパートナーに、各生産地を代表するトップ・メーカーとのコラボレーションを通じて、テロワールと土着のブドウ品種のキャラクターにあふれたワインを世界に発信している。ただ伝統を踏襲するだけでなく、その本質を若い感性で洗練・昇華させる現代スペインの表現者であり、まだ設立間もないながらも、彼らのワインは専門各誌で高い評価を受けている。
雲ひとつない青空、燦々と降り注ぐ太陽、石が多く荒涼とした大地に列を成すブドウの樹。ラファエルが夏のルエダを訪れた際に受けた鮮烈なイメージをそのままワインに体現するのは、ルエダで代々続くフェリックス・ロレンソ・カチャソ。エミール・ペイノー博士が「フレッシュな白に最適」と土着品種ベルデホとテロワールにポテンシャルを見出したこの地にD.O.ルエダを設立すべく尽力し、今やニューヨーク・タイムズで「大いに楽しめるワイン」の筆頭に挙げられるルエダの基礎を築いた生産者の一人である。マドリッドの北西170kmにあるポサルデスに本拠を構え、かつては町中の地下数十メートル下に掘られた古いセラーを使っていたが、1993年に醸造施設を新設。収穫の大半は夜間に行い、セラーの室温は夏でも15度以下に保つなど、果汁が酸化しないよう細心の注意を払っている。25haの所有畑には樹齢100年のプレ・フィロキセラの区画も保持しており、伝統と最新技術を融合して、ルエダの気候風土が育んだベルデホの個性を活かしたクリーンなワインを手掛けている。
スペイン北西部寄りの内陸に位置する。暑い夏の期間が長く、冬は寒さが厳しい大陸性気候だが、海抜700-800mの高地にあるため、トロなど他の内陸の生産地域ほど暑さは厳しくない。昼夜の温度差も大きいため、高い糖度と酸度を併せ持つ理想的なブドウが得られる。かつてシェリーのような酒精強化ワインで有名だったが、D.O.ルエダの設立以降、フレッシュで軽やかな白ワインの生産地域として国内外で脚光を浴びている。
商品コード:07344E
ベルデホ由来のフレッシュハーブや黄色い果実のメリハリのあるキャラクターに、ビウラからのリンゴや白い花を思わせる清楚なニュアンス。ワイン全体からフレッシュでクリーンな香りが漂う。透明感ある果実は熟していながら余分な肉付けはなく、溌剌とした酸とあいまった軽やかさが快い飲み心地を誘う。フィニッシュはレモンシャーベットのような爽やかさ。