地域の多様性と独自のブドウ品種により、個性溢れるワインの宝庫であるスペイン。ワイン商として様々な造り手と交流を重ねる中でその魅力に目覚めたラファエル・デ・ハーンは、スペイン各地からの心浮き立つようなワイン・コレクションを生み出すべく2006年にボデガス・アバニコを設立。大学で農業を学び、テッラ・アルタでブドウの品質管理を監督していた妻のヌリア・アルテスをパートナーに、各生産地を代表するトップ・メーカーとのコラボレーションを通じて、テロワールと土着のブドウ品種のキャラクターにあふれたワインを世界に発信している。ただ伝統を踏襲するだけでなく、その本質を若い感性で洗練・昇華させる現代スペインの表現者であり、まだ設立間もないながらも、彼らのワインは専門各誌で高い評価を受けている。
スペイン語で『闘牛』という意味を持つD.O.名の通り、スペインのパワフルな赤ワインの代名詞たるトロ。テンプラニーリョが独特の気候風土に適合したとされ、より厚い果皮を持つ土着品種ティンタ・デ・トロが、濃厚なワインを生む。砂質土壌のおかげでフィロキセラの被害から免れたこの地では、樹齢の高い畑が多く、中には樹齢100年を超える継ぎ木なしの自根の樹さえ現存する。トロの真髄はこのティンタ・デ・トロの古樹のブドウがもたらすピュアでパワフルなキャラクターだと確信したラファエルは、プレ・フィロキセラのブドウを用いてエテルヌム・ヴィティを生みだした。エレガンスを損なわず、いかに品種とテロワールの個性を表現するかがチャレンジだったというが、これぞトロという力強さと古樹ならではの自然な凝縮感、そして密度のある果実をより引き立て、複雑味と丸さを与える樽使いが素晴らしい作品が完成した。このエテルヌム・ヴィティは、初ヴィンテージの2007年で早くも『ワイン・アドヴォケイト』に取り上げられ、スペインのバリュー・ワイン100本に選出された。続く2008年、ラファエルはティンタ・デ・トロの古樹を更に純粋に表現すべく、樹齢140年にも及ぶ単一畑のブドウのみからロス・コルミリョスを生みだした。トロにありがちな過剰な抽出を避け、注意深く古樹のパワーを引き出したそのワインは、別次元の深みと密度を備えている。うねるようなエネルギーの奔流すら感じられるモンスター・ワインである。
スペイン北西部の内陸に位置する。大陸性気候の影響を受け、年間降水量350-400mm、日照時間2,600-3,000時間、夏の気温は40度まで上昇し、冬はマイナス10数度まで冷え込むという乾燥した土地である。土壌は砂岩、固い粘土からなり、上層には石灰や礫岩が転がる。長く暑い生育期間や海抜620-750mの高地ならではの昼夜の寒暖差により、果皮が厚く非常によく熟したブドウが得られるため、パワーと凝縮感に富んだ赤ワインに定評がある。
商品コード:06627E
プレ・フィロキセラの区画を含む、平均樹齢50年の古樹のブドウを使用。ほとんど黒といってもよいほど濃く艶のある紫色の色調。黒い果実、皮、色の濃い様々なスパイスやオーク由来のトースト香。力強い香りに負けず劣らず、口に含むとリッチで甘い果実が押し寄せるが、あくまでクリーンかつ品のある味わいで、きめ細かくよく熟したタンニンが心地よい。完熟果実の密度とパワー、そして古樹のブドウのエキスを持つ、各要素のバランスのとれた秀作。
商品コード:06628E
通常古樹と呼ばれる樹齢(40-50年以上)の約3倍を生き抜いた、1870年代に植樹されたプレ・フィロキセラの単一畑により、トロの真髄そのものを体現したトップキュヴェ。黒果実、アジア系スパイス、ミネラルがぎっしり詰まった香り。凝縮感の塊のような果実は驚くほどキメ細かく、長く甘いフィニッシュには驚くほどのグリップ。別次元の密度と深みを備えた味わいには、うねるようなエネルギーの奔流すら感じられるモンスターワイン。