隣人クロ・ルジャールら偉大な師の教えを糧に、2002年ゼロから自家醸造を始めたアントワーヌ・サンゼイ。今や地域を牽引するトップ生産者としての地位を確立。
隣人クロ・ルジャールら偉大な師の教えを糧に、2002年ゼロから自家醸造を始めたアントワーヌ・サンゼイ。今や地域を牽引するトップ生産者としての地位を確立。
ロワール地方ソミュール・シャンピニーは、石灰岩「テュフォー」を基盤とする地形と、冷涼な気候のもと、カベルネ・フランから繊細さと緊張感を備えた赤ワインを、そしてシュナン・ブランからは高い酸とミネラルを湛えた白ワインを生み出す産地として知られている。しかしながら長年にわたり、ソミュール・シャンピニーは、パリのビストロで親しまれる日常的なワインのひとつに過ぎなかった。主要品種であるカベルネ・フランもまた、より名高いカベルネ・ソーヴィニヨンやボルドーのワインの陰に隠れる存在と見なされてきたのだ。しかし20世紀後半、ファインワイン文化の再定義により、その評価は大きく変化した。いまやカベルネ・フランは、伝説的なクロ・ルジャールのような最高峰のワインと結びつけて語られる存在となり、ソミュール・シャンピニーは世界的な注目を集めるアペラシオンへと進化を遂げた。


その新世代を牽引する代表的なワイナリーの一つが、アントワーヌ・サンゼイである。ブドウ栽培家としては6代続く家族経営だが、自身の名を冠したラベルでワインを初めてリリースしたのが現当主のアントワーヌである。2002年に祖父母の畑を引き継いだ当初、ブドウは全て協同組合へ出荷されており、自家醸造は、彼にとってはゼロからの出発であった。少しずつ自家醸造の割合を増やし、2013年の収穫を最後に協同組合から離脱、以降は完全に独立したドメーヌとして歩みを進めている。彼の成功の裏には恵まれた立地と師の存在がある。ドメーヌの象徴的存在であり、ソミュール・シャンピニーを代表する区画のひとつ、「レ・ポワイユー」を4ha所有し、その拠点はクロ・ルジャールやドメーヌ・デ・ロッシュ・ヌーヴに隣接。アントワーヌは近隣の偉大な生産者たちを師と仰ぎ、栽培と醸造の両面において、彼らから多くを学んだ。これほど恵まれた隣人を持つ造り手は多くないだろう。
アントワーヌの哲学の根幹にあるのは、植物、テロワール、人間の一貫性を確保することだ。2014年には有機認証を取得し、現在は所有畑約11haの全てをオーガニックで管理している。区画ごとの特性を徹底して見極め、土壌とブドウ樹そのものの健全さを何よりも重視し、その土地の起源を表現する、健康的で味わい豊かな果実を収穫することを追求している。醸造においては、人的介入を最小限に抑えている。自然酵母による発酵をし、清澄と濾過は行わない。使用する樽の多くは古樽で、新樽による装飾を避け、果実と土壌の表現を尊重する。熟成はテュフォーを掘り抜いた地下カーヴで行われ、年間を通して安定した温度環境のもと、ワインはゆっくりと落ち着きを得ていく。その味わいは驚くほどアロマティックで洗練されており、過度な凝縮ではなく、繊細でニュアンスに富んだスタイルを示す。


アントワーヌは「もしワインメーカーでなければ料理人かソムリエになっていた」と語るほど食への関心が深く、彼の生み出すワインには彼の豊かな感性が反映されている。しばしば「ガストロノミーのためのワイン」と評され、料理と合わせることでその味わいが最大限に発揮される。その実力は世界的な評価誌からも絶賛されており、Wine Advocateでは「非常にアロマティックなスタイルで知られ、バランスが良く洗練された味わいを備えている」、Vinousでは、「ソミュールのトップクラスに確固として名を連ねる生産者である」と高い評価を獲得している。アントワーヌ・サンゼイは、ソミュールの伝統と未来をつなぐ存在として、今まさに新世紀を担う生産者のひとりに数えられている。

商品コード:12540E
サン・シール・アン・ブール村の西向きの区画から作られる。陽光を感じさせる完熟した果実やスパイス、スモークに、火打石のようなミネラル感が重なる。ふくよかで丸みのある味わいながら、芯のある中盤から塩味を伴うミネラルなフィニッシュへと繋がるバランスのとれた仕上がり。

商品コード:12537E
しなやかで香り高く、若いうちから楽しめる魅力に満ちた一本。赤系果実やオレンジピール、花のニュアンスに、控えめな還元香が心地よい緊張感を添える。ミディアムボディでジューシーかつ丸みがあり、果汁感に富んだフレッシュで軽やかな中盤の味わいから、バラのニュアンスを帯びた長い余韻へ繋がる。

商品コード:12538E
カシスや黒系果実、花の香りが立ち上がり、緊張感のあるミディアムボディにジューシーな果実の核が感じられ、繊細で緊張感のあるスタイル。卵形タンクで熟成され、軽やかな余韻を持つ。

商品コード:12539E
クロ・ルジャールのレ・ポワイユーは、粘土質土壌に、風成砂が含まれるのに対し、粘土石灰質土壌の区画から作られる。艶やかでシルキーな質感を備えながら、粘土石灰質土壌由来の果実味と旨味が調和し、還元由来のスモーキーなニュアンスが複雑性を高める。瑞々しいタンニンが口中を包み込み、フレッシュでクリーンな後味が心地よい。