ジュラを代表する固有黒ブドウ品種であるプールサールとトゥルソー。プールサールの特徴は果皮色の薄さに由来した淡い色を持つ赤果実主体のフルーティーさであるが、トゥルソーは濃い色の果皮を持ち、アルコール度数もプールサールを上回る事が多く、しっかりとしたタンニンを伴う熟成能力のあるワインを生み出す。トゥルソーが占める栽培面積はジュラの中でも5%のみと僅かだが、ラ・ルヴュ・デュ・ヴァン・ド・フランス誌は、数十年セラーで熟成させれば偉大なブルゴーニュに匹敵する赤ワインが生み出される注目すべき品種として、そのポテンシャルについて太鼓判を押している。
ジュラ北部に位置するモンティニー・レ・ザルシュール村はアルボワから北に3km進んだ場所にあり、トゥルソーの歴史的中心地として知られている。トゥルソーは栽培に手間がかかる繊細な品種で、日当たりがよい温暖な斜面でしかうまく成熟することができない。この村で見られる石灰岩や珪質岩混じりの粘土質土壌は、気難しいトゥルソーが好む理想的な土壌だ。トゥルソーは粘土との相性が良く、珪質礫を含む厚い粘土の層がアルボワ及びモンティニーに広がっている事が、ジュラの中でこのエリアがトゥルソーの中心地として歴史的に発展してきた所以である。
モンティニー・レ・ザルシュール村を本拠地とするリュシアン・アヴィエは、トゥルソーのエキスパートとしてアンドレ・エ・ミレイユ・ティソやジャック・ピュフネイと並び称される生産者だ。ローマ神話におけるブドウ酒と豊穣の神である”バッカス”の愛称で親しまれたリュシアンは、1960年に設立した自身のワイナリーに”カヴォー・ド・バッカス(バッカスのワイン蔵)”と名付け、その歴史をスタートさせた。ジュラのトップ生産者として名高いピエール・オヴェルノワとは同世代の友人でもあり、ジュラの古株として共にこの地を牽引してきた重鎮の一人である。1999年には息子のヴァンサンがドメーヌに参画し、二人三脚でブドウ栽培・ワイン造りを行ってきた。
所有する5haの畑は、モンティニー・レ・ザルシュール村と一部アルボワに広がり、栽培はリュット・レゾネで行う。全てのキュヴェは自然酵母を用いてオークのフードルで発酵・熟成させる。基本的に新樽は使用せず、大きめのフードルを用いているので、ワインには樽香は感じられず、自然体なトゥルソーの味わいが瑞々しさと共に素直に表現されている。ワイン・アドヴォケイトでジュラを担当するLuis Gutierrrezは「私にとって彼らはジュラの隠れた宝石であり、あらゆるスタイルの素晴らしいワインを非常に手頃な価格で造っている」、「伝統主義者の愛好家は追いかけるべき名前だ」と高く評価している。2021年5月、リュシアンは癌によりこの世を去ったが、現在は孫であるマクサンスがワイナリーに参画し、その志とワイン造りは次の世代へと引き継がれている。バッカスの偉大な功績をさらに昇華させるべく、ヴァンサン・マクサンス親子は新たな1ページを開いており、既に各評価誌から高い評価を獲得していることからも、ワイナリーの輝かしい未来が期待できるだろう。
商品コード:11909E
樹齢15年ほどの若い区画のものだが、砂利、粘土、石灰岩の非常に良い土壌に植えられており、the Rosierと同じタイプの土壌で非常にエレガントなワインを生み出している。野生のベリーとハーブが混じり合い、かすかな土のタッチがあり、繊細な骨格とミディアムボディで、クリーンで非常に優れたバランスがよく、フレッシュで、緊張感のある直接的なトゥルソー。
商品コード:11908E
丸みがあり、ジューシーで、果実味が非常に強い。バランスよく熟しているが、ミネラルを想像させる硬質な口当たりで、緻密な質感と長い後味がある。