コンドリューやコート・ロティだけでなく、実はエントリーラインでも高品質なワインを少量生産している。フィネスとフレッシュさを兼ね備えた、ガストロノミックなエレガント・ローヌ。
コンドリューやコート・ロティだけでなく、実はエントリーラインでも高品質なワインを少量生産している。フィネスとフレッシュさを兼ね備えた、ガストロノミックなエレガント・ローヌ。
ローヌ地方の栽培エリアはローヌ川沿いに南北200km、東西100kmにも及び、その個性も様々。大陸性気候の北部と地中海性気候の南部ではワインのキャラクターも大きく異なるが、北部ではコート・ロティ、コンドリュー、エルミタージュ、南部ではシャトーヌフ・デュ・パプが高級ワインの生産地として名を馳せている。そんな北部の珠玉のアペラシオン、コート・ロティとコンドリューの生産者として、近年注目が高まっているワイナリーがドメーヌ・シャンベイロンだ。1985年ベルナール・シャンベイロンによって創設された小さな家族経営のワイナリーで、代々農業に携わってきた歴史を持つ。2010年からはベルナールの息子マシューが2代目当主として指揮を執っている。父から引き継いだ5haの畑は全て北部に位置し、コート・ロティとコンドリューに3.7ha、コート・ロティの境界からわずか300mしか離れていないコート・デュ・ローヌを1ha、そしてコリーヌ・ロダニエンヌに0.3haを所有する。ワイナリーのフラッグ・シップは所有畑の半分以上を占めるコート・ロティとコンドリューだが、知られざる優良IGPコリーヌ・ロダニエンヌも見逃してはならない。
IGPコリーヌ・ロダニエンヌは、北はリヨン、南はモンテリマール(コルナスから更に南に50km、南ローヌの入り口)までカバーし、栽培面積は約300ha。コート・ロティ、コンドリュー、更にはエルミタージュまでを包括する。もともと北部ローヌにおいては渓谷が狭いことが著名なアペラシオンの拡大を制限しており、一部の活動的な作り手はAOC域外への拡大を試み、新しい土地にシラーやヴィオニエを植え付けてきた。AOC域外の畑のワインは全てIGPコリーヌ・ロダニエンヌとして販売されるため、偉大なアペラシオンと似たテロワールを持つワインも遥かにお手頃な価格で生産されている。その中でも選ぶべきは石がちな斜面に広がる冷涼な北部のテロワールで、特にコート・ロティやコンドリューに隣接する畑だ。より温暖で平野が多くなる中部や南部に比べ、ワインには緊張感やミネラル、エレガンスが備わるからだ。テロワールの優位性に加え、その表現に優れた造り手が生み出すワイン、それこそが真にコスト・パフォーマンスに優れた見逃すことの出来ないワインと言えるだろう。そしてドメーヌ・シャンベイロンは見事にこの2つを兼ね備えている。
ワイナリーの目指すスタイルは「フィネスとフレッシュさ」。畑は全て手作業、リュット・レゾネで栽培し、殺虫剤は使わない。シラーの醸造では穏やかな抽出を心掛け、コンクリートタンクを用い発酵。熟成はバリックだが果実味を隠さないようキュヴェによっては新樽を控える。ヴィオニエはステンレスタンクをメインに使用しているが、フレッシュさと微小酸素の供給を目的として2022ヴィンテージよりコンドリューにのみアンフォラの使用も始めている。通常酸が低くなりがちな品種だが、シャンベイロンの畑は石灰を含むため、華やかなアロマがありながら十分な酸が保持され、そのバランスを取る為マロラクティック発酵も行っている。ボリュームと香りだけでなくしっかりとしたミネラルがあるシャンベイロンのヴィオニエは、他とは一線を画すガストロノミーなワインとなる。2010年にドメーヌを引き継いだマシューはまだ若く他のワイナリーでの修行経験はないが、近年、生産するワインはWA、Vinous、JRなど評価各誌で高得点を獲得、2018年にはDecanter誌で白・赤ともにシャーヴやシャプティエ、ギガルらと並び「北ローヌの最上生産者」「北ローヌのトップワイン」にも選出されている。実力、知名度ともに確実に高まっている北ローヌの隠れた優良生産者に世界中から注目が集まっている。
商品コード:10517E
アンピュイにある海抜350m、南西向きの畑。樹齢は約30年。白桃やアプリコット、洋梨のみずみずしいアロマ。口に含むと熟度を感じさせるたっぷりとした果実味と、張りのあるミネラルが心地よいコントラストを奏でる。ふくよかさとフレッシュな酸がバランス良く広がるフィニッシュ。
商品コード:10847E
標高150mに位置する南向きの畑で、樹齢は約35年。洋梨や桃の輝くような生き生きとしたアロマ。口当たりはリッチでクリーミー、繊細なスギやオークのニュアンスが感じられる。高い熟度と広がりのあるフィニッシュ。
商品コード:10451E
コート・ロティからわずか300mしか離れていない樹齢40年のブドウを使用。チェリー、ブラックカラント、リコリスにチョコレートや繊細な花のアロマ。黒系果実の甘やかな口当たりだが、緻密なタンニンがシャープな印象も与えており、フィニッシュにはスパイスとフローラルなニュアンスが広がる。
商品コード:10891E
標高250mに位置する南西向きの畑で、樹齢は約35年。黒系果実、クローヴなどの繊細なスパイス、杉のアロマ。生き生きとした口当たりでタンニンは滑らか。余韻の長いシャープでフレッシュなフィニッシュ。素晴らしい熟成を期待させる。