サン・フランシスコから東へ約70km、リヴァモアの町を中心に広がるリヴァモア・ヴァレーはカリフォルニアで最も古いワイン生産地のひとつである。サン・フランシスコ・ベイ、もしくはより大きなカテゴリーとしてはセントラル・コーストに属するこのアペラシオンは、カルフォルニアでは珍しく、東西に走る谷に畑が広がる。このユニークな地形により、太平洋やサン・フランシスコ湾からの霧や涼しい風が入ってくるため、暖かな日中と涼しい夜というブドウがじっくりと時間をかけて完熟するのに理想的な気候が生まれる。またそれに加えて、土壌はブドウの樹勢を抑える痩せた砂利主体で排水性がよく、凝縮感を備えたブドウが得られる。テート・ドッグは1999年にこのリヴァモア・ヴァレーの中心地に設立されたワイナリーだ。設立者のマイク・ウォンレスは30年以上ワイン造りに携わってきたベテランで、カリフォルニア大学デイヴィス校で植物学やIPM(病気や害虫が発生しにくい環境を作る防除法)を学び、リヴァモア最古のワイナリーであるウェンテ・ヴィンヤーズなどカリフォルニアの大手ワイナリーの広大なブドウ畑の栽培責任者を歴任。加えて、サステイナブル・アグリカルチャーを採用する栽培家の多くにブドウ栽培を指導してきたブドウ畑のエキスパートである。若い頃は「偉大なワインは畑で造られるが、全ての醸造家がそれを台無しうる」と考えていた栽培至上主義者だったが、ウェンテでともに働き、現在では同醸造所の限定生産ワインであるスモール・ロット・ワイナリーを手掛ける醸造家のクロード・ボッバとの出会いにより、優れた醸造家の手腕を認めるようになった。
その当時、マイクには5年がかりで自らの手で復活させた畑があった。ウィズナー・ヴィンヤードという100年以上前に拓かれた歴史ある地所である。1940年代頃にはグレイ・リースリングとセミヨンが栽培され、ウェンテ・ヴィンヤーズのブドウの供給源となっていたが、1990年にはフィロキセラにより畑が壊滅状態となっていた。所有者一族と親交が深かったマイクは自ら畑の整備を買って出た。マイクの栽培家として経験と知恵を惜しみなく注ぎ、灌漑設備を整え、土壌に合うクローンと台木を厳選し、1995-1996年にかけてようやくカベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネを植樹したのである。「この畑から、一級のおいしいワインを造ろう」。カリフォルニアには手の届かない高価なプレミアムワインが多い中、マイクが目指したのは誰もが手に入れられる価格帯のワインだった。クロード・ボッバのガレージを借りて、文字通りガレージ・ワイナリーとしてワイン造りをスタート。マイクが手塩にかけて育て、畑の力を反映したブドウのキャラクターをワインの中にクリアに表現すべく、クロードが醸造を行う。醸造過程では人の手の介入を最小限にとどめるほか、オークで味わいを覆い尽くすことなく、ワインに複雑さ、心地よい口当たり、風味のキャラクターを与えるべく、バリックのオークはハンガリー産、フランス産、アメリカ産を併用している。2002年に初ヴィンテージを公にリリースし、現在は二人にゆかりの深いウェンテ・ヴィンヤーズの醸造施設を借りてワイン造りを行っている。ちなみに、ラベル及びワイナリー名の由来となっているのは、マイクのかつての愛犬テートである。He wasn’t a particularly good dog: but he was, a great dog(=彼は特に良犬というわけではなかったが、偉大な犬だった)とラベルにある通り、非常に活発で怖いもの知らずの犬だったという。このラベルと名前には、友人や家族と食事の席で皆で彼のワインを共有して楽しんでほしいというマイクの造り手としての思いと同じく、テートのエネルギッシュな生き方をワインを飲む人と分かち合いたいというプライベートな思いも込められている。
商品コード:09220E
トロピカルな果実やレモンのクリーム・ブリュレを思わせるふくよかな香りの中に、ナッツやバニラの香ばしさが溶け込んでいる。オークのストラクチャーに支えられたリッチな果実はドライなフィニッシュまで続く。古き良きカリフォルニアを思わせる円熟のシャルドネ。
商品コード:09219E
プラムやブラックチェリー、ブラックベリーの豊かな香りを砕いたスパイス、モカ、オークが縁どる。様々な色の果実が密に詰まった豊かなボディ。細かなタンニンがストラクチャーを支え、スパイスやカカオが余韻に長く漂う。果実の厚みとボディはナパ・ヴァレーのカベルネにも匹敵する高いクオリティ。
商品コード:11270E
ピノ銘醸地カーネロスのブドウを使用。熟したベリー、ブラックチェリーの豊かな果実味の中に、スパイスや樽由来の香ばしさが感じられる。口当たりは滑らかで、温かみのある果実がフィニッシュまで優しく続く。