ムルソーで現在最も注目を集める若手生産者は誰か。その問いかけに対し、ブルゴーニュの事情通の間で真っ先に名が挙がるのがピエール・ボワッソンである。1954年に設立されたドメーヌの3代目となる彼は、一生涯の師となる父親のベルナールに加え、ムルソーを代表する偉大なドメーヌ、コシュ・デュリに大きな影響を受けている。事実、ピエールのスタイルはしばしばコシュ・デュリと比較される。緊張感あるワインを好む彼は、コシュ・デュリと同じく還元的なワイン造りを行っており、コシュ・デュリを還元的なワイン造りのトップ生産者に挙げるジャンシス・ロビンソンは、ピエール・ボワッソンをそれに倣う最も成功した造り手の一人として取り上げる。また、ピエールはコシュ・デュリのラファエル・コシュと非常に親しく、彼らはドメーヌのフィロソフィや栽培、醸造について意見交換をするだけではなく、畑で使う支柱などを保管する倉庫も共同管理する間柄だ。11haの所有畑はムルソーを中心に周辺のポマール、ボーヌ、モンテリーに広がる。「ブドウに手を加えなければ加えないほど、ワインはよくなる」という信念を持つピエールは、畑仕事を何より重要視している。常に畑に出ているため、日中彼をドメーヌで見かけることは非常に稀だ。ビオかどうかよりも、畑を健全に保つことを優先し、殺虫剤、除草剤、化学肥料などの化学薬品は用いない。収量制限を行い、酸度を保持するため収穫は早い。ムルソーで最も早く収穫する造り手の一人である。
醸造面では先述したとおり、酸化を徹底的に避けるのが特徴である。白ワインは通常より熟成期間が長く、18-22ヶ月。バトナージュはごく軽く行われ、澱引きの際には極力ワインを酸素に触れさせないよう樽内に窒素を充填しつつ作業するという特殊な方法を採用している。こうすることで、各畑の特徴をフレッシュでピュアに引き出すことができ、熟成のポテンシャルも備わる。新樽率は年々下げており、近年では平均15-30%、すべて自然酵母にてバリックで発酵される。赤ワインは100%除硬後、開放型の発酵槽で醸造される。もうひとつ、このドメーヌで特徴的なのは、ワインを3つのラベルでリリースしていることだ。ピエール・ボワッソン本人の名義の他、父親名義のボワッソン・ヴァド、妹名義のアンヌ・ボワッソンがある。これは地価の高騰が著しい昨今のブルゴーニュにおいて、高額な相続税のために畑を手放すことがないように、との先代の配慮から、少しずつ畑を生前贈与しているためである。既に先代の頃からブルゴーニュ評論の権威クライヴ・コーツから「信頼できるドメーヌ」との評価を得ているが、ピエールに代替わりした現在では、ルヴュ・デュ・ヴァン・ド・フランスのブルゴーニュの偉大なドメーヌ特集にて頭角を現す生産者として取り上げられ、「洗練された緊張感のあるワイン」、「最高にお買い得」、と絶賛されている。世界的にも大きな関心が寄せられる一方、生産量が少ないため数年先まで新規取引の可能性は皆無とされる入手困難な造り手である。
商品コード:11916E
商品コード:08403E
ムルソーの国道近くにある2区画からくる樹齢50年のアリゴテ。非常にフレッシュで生き生きとしており、リンゴやグレープフルーツなどのピュアな果実味とミネラルがしっかりと感じられる。10年以上の熟成のポテンシャルを持つ驚くべきアリゴテ。
商品コード:11914E
商品コード:09770E
ムルソーのコミューンにある 8つの区画からくるブドウを使用した、レベルの高いブルゴーニュ・ブラン。リンゴなどのフレッシュな白い果実と柑橘系のアロマにミネラルの香り。溌剌さ、ピュアさが感じられ、非常によくバランスが取れている。
商品コード:11533E
商品コード:11912E
商品コード:11371E
ムルソーの北側、斜面の中腹にある二つの区画をブレンド。印象的なローストしたナッツの香り。ミネラリーでしっかりとした強さをもつムルソー。力強さと、繊細さの両方を兼ね備えている。
商品コード:10454E
国道近く、ムルソー村の集落の南に隣接する、水はけのよい砂利質の土壌からなる区画。他のムルソーより繊細なワインとなる。フレッシュなグレープフルーツのアロマと緻密なミネラル。細身でエレガントなストラクチャー。
商品コード:11561E