中途入社と同時に、フィラディス初のBtoC事業として、ECサイトの立ち上げをゼロから任された五十嵐。
ECは未経験ながら、ワインに関する知識と経験によって、いまや月商3千万円を超えるまでに成長させた。
サイトはさらなる拡張を続けているが、その地道な取り組みは、いまも変わらない。
もともとビールが好きで、大学を出て某ビール会社に入社。でも営業先で出会った方々にワイン好きが多く、いつしか「ワインを自分の武器にしたい」と思うようになりました。会社の休職制度に手を挙げて、1年間フランスでワインを勉強。戻ってからはビールではなくワイン部門で長くマーケティングを担当しました。その後、イタリアの食品メーカーを経て日本の大手ワインショップで仕入部長をしていました。
そこからさらに転職をしたのは、大手があまり取り扱わない小規模生産者の優れたワインを、もっと日本に紹介したいと考えたから。フィラディスのことは魅力的に感じていたので、求人を見つけたときにすぐに応募しました。
面接で、自分がフィラディスで何ができるのか相談していたとき、打診されたのがECサイトの立ち上げでした。全くの未経験でしたが、せっかくこの会社で働けるチャンスでしたし、新規事業立ち上げの経験はあったので、なんとかなるだろうと引き受けました。いま考えると、知識のなさゆえの怖いもの知らずでしたね。引き受けた後にECサイトに関する本を読み、これは大変なことになったぞと慌てました(笑)
すでに多くのワイン通販サイトがあるなかで、どうやって勝負していくか。まずはエッジの効いたコンセプトを打ち出すために議論を重ねました。そうして生まれたのが、「3,000円以下のワインが30本だけ」という「Firadis WINE CLUB 30」でした。
これまでの日本のワイン市場から抜け落ちていた価格帯ですが、実は産地や品種の個性が楽しめてワインの入り口にふさわしい。さらに商品を絞るかわりに、1本ごとにおいしい飲み方の説明や料理とのマッチングなど、リッチなコンテンツを盛り込みました。
そうやって準備に時間をかけてサイトをオープンさせたのが2015年5月。でもそこからが大変でした。誰も見つけてくれないんですよ。もともとBtoBの会社なので、社名で検索してくれる人が業者の方しかいない。最初の注文は僕の妻で、初月の売り上げはほとんど僕の友人からの注文。金額はわずか6万円でした。
認知度を上げる施策は、ひたすら地道なものでした。店舗イベントや試飲会を開いて直接飲んでもらう機会をつくり、メルマガも毎日書きました。ネットの広告も打ちましたが、それよりはイベントで気に入ってくださった方の紹介が大きかったですね。同時にサイトのコンテンツも増やしていき、検索順位も上がっていきました。おかげさまでサイト開設の約半年後に月商100万円を超え、そこからは順調に伸びています。
いま、ECサイトチームはスタッフも増え、シャンパーニュや高価格帯のワインなど、ジャンルごとに見え方の異なるページも拡充。月商は3,000万円を超えています。
ECサイトはお客様の顔を直接見ることができませんが、メルマガの記事一つ、サイトのボタン位置の改良一つに対する反応が、すぐに数字で表れるのは面白いところです。今後はそうした数字の分析もさらに精緻に行っていきたいと考えています。
フィラディスのECサイトの根底にあるのは、“お客様一人ひとりが自分のお気に入りのワインを見つけてほしい”ということ。格安セットや金賞受賞ワインをなんとなく注文するのではなく、味わいを自分で選ぶことで、そこから新たなチョイスも広がっていく。実際にサイトのお客様から、「今後はセットではなく自分好みのワインを選びたい」「熟成ワインの楽しみ方が分かった」などというお言葉をいただくことが増えてきているので、とてもうれしいですね。そのためにこちらも、本当においしいワインを1本1本丁寧に説明していくことを今後も大切にしていきたいです。
現状のコンセプトを守りながら、お客様にとって役立つ情報を増やし、サイトを規模的にもコンテンツの面白さでも日本No.1、いや世界No.1のワイン通販に育てていきたいですね。
休日は運動して温泉&サウナ、または映画や読書。
週末は夕食当番なので、料理を作ってそれに合わせて妻とワインを楽しんでいます。